ブランデンブルク市電

ブランデンブルク市電：都市の歴史を彩る軌道

ブランデンブルク市電（Straßenbahn Brandenburg an der Havel）は、ドイツのブランデンブルク・アン・デア・ハーフェルで運行されている路面電車です。現在は、路線バスと共にブランデンブルク・アン・デア・ハーフェル交通事業有限会社（VBBr）によって運営されています。

歴史

1897年10月1日、ブランデンブルクに初の軌道交通である馬車鉄道が開通しました。当初は民間企業が運営していましたが、1910年に市が買収。1911年4月からは路面電車への転換が始まりました。その後、路線網は拡大し、色分けされた複数の系統が運行されました。しかし、第二次世界大戦末期の空襲で甚大な被害を受け、全線復旧は1947年まで待つことになります。

戦後、東ドイツの路面電車となったブランデンブルク市電は、1950年代初頭に製鉄所への延伸が行われました。1955年には系統名が色から番号に変更され、6つの系統（1 - 6号線）が存在しました。その後、路線の縮小や系統の整理が進み、1965年には路面電車そのものを廃止する方針も打ち出されました。しかし、オイルショックによる石油価格の高騰などから1973年にこの方針は撤回され、1980年代まで郊外の開発地域を中心に路線の延伸が続けられました。

車両は、1950年代以降に東ドイツ製の2軸車が多数導入され、1979年からはチェコスロバキア（現：チェコ）のČKDタトラ製連接車（KT4D）が導入されました。また、1959年から列車内の一部車両で車掌業務を廃止し、1965年からは信用乗車方式に切り替えられました。

1987年には、9系統の路線網で年間2,410万人の乗客を記録し、過去最高の乗客数を達成しました。

東ドイツの民主化やドイツ再統一の流れの中で、1990年に運営組織は有限会社（GmbH）へと再編されました。その後、バリアフリーに対応した超低床電車の導入を進める一方で、路線規模は縮小を続けています。2002年9月にはプラウエ橋を渡る路線（全長5.6 km）が廃止され、2019年時点での系統数は4つに減少しました。さらに同年には20周年記念橋が老朽化のため閉鎖され、同橋梁を通る系統が運休となっています。

系統

2019年の20周年記念橋閉鎖の影響で、現在運行しているのは以下の2系統のみです。

（系統名未記載）
（系統名未記載）

車両

2022年現在、ブランデンブルク市電に在籍する営業用車両は以下の通りです。予備車として残存するKT4Dを除き、全車両がバリアフリーに対応した超低床電車となっています。

KT4D：ČKDタトラ製の小型2車体連接車。1990年代に近代化工事が行われましたが、現在は2両が予備車として残るのみです。
KTNF6：KT4Dの中間に低床車体を挿入した3車体連接車。1997年以降10両が改造を受け、2015年からは再度の更新工事が実施されています。
MGT6D：デュワグ製の部分超低床電車。1995年に営業運転を開始し、2019年からは順次更新工事が行われています。6両が在籍し、うち2両はハレ市電から譲渡されたものです。

動態保存車両

30：1912年製の2軸車
* 42：1954年製の2軸車（ET54）

導入予定の車両

2018年、ブランデンブルク・アン・デア・ハーフェル交通事業有限会社は、ブランデンブルク州の他都市の路面電車事業者と共に新型電車を導入することを発表しました。入札の結果、2021年にシュコダ・トランスポーテーションのフォアシティ・プラスが発注されました。ブランデンブルク市電には8両（＋オプション4両）が導入され、老朽化したKTNF6を置き換える形で2025年以降に営業運転を開始する予定です。

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