ブラート・オクジャワ

ブラート・シャルヴォヴィッチ・オクジャワ（1924年5月9日 - 1997年6月12日）は、ソビエト連邦およびロシアを代表する詩人、シンガーソングライター、そして小説家として知られています。彼の作品は、詩、音楽、文学の分野で多岐にわたり、特に「авторская песня（作者の唄）」と呼ばれるジャンルの確立者の一人として、その名を歴史に刻みました。このジャンルは、ギターの弾き語りによる独特のスタイルを持ち、フランスのシャンソンとロシア民謡の影響を受けたものです。オクジャワのようなアーティストは「バルド（吟遊詩人）」とも称され、その音楽と詩は多くの人々の心を捉えました。

オクジャワは、モスクワでグルジア人の父とアルメニア人の母の間に生まれました。第二次世界大戦では兵士として従軍し、戦後は教師や出版社勤務を経て、詩作活動を開始しました。1950年代後半から、自作の詩を歌うようになり、主に知識階級の間で注目を集めました。彼の人気は国民的なものとなりましたが、その音楽スタイルは、ソ連の文化政策には必ずしも適合せず、公式に認められたのは晩年になってからでした。

オクジャワは、自らを詩人であると強く認識しており、音楽活動は彼の詩の世界を広げる手段でした。そのため、レコーディング活動は1980年頃からと、比較的遅くに始まりました。しかし、その作品は、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。1967年にはストルガ詩の夕べ金冠賞を受賞し、1991年には国民的詩人としてソ連芸術賞を受賞しました。また、1980年代からは小説にも力を入れ、1994年には「シーポフの冒険」でロシア・ブッカー賞を受賞するなど、文学的才能も高く評価されました。

オクジャワは、1997年にパリでこの世を去り、モスクワのヴァガニコヴォ墓地に埋葬されました。彼の住んでいたモスクワのアルバート通りには記念像が建てられ、小惑星帯の小惑星の一つには彼の名前が付けられるなど、その功績は今もなお称えられています。

オクジャワの作品は、ロシアの歴史、文化、そして人間の感情を深く反映しています。彼の歌は、時に優しく、時に力強く、人々の心に響き、その影響は音楽界だけでなく、文学や文化全体に及んでいます。

主な著書

シーポフの冒険 あるいは今は昔のボードビル（沼野充義、沼野恭子訳、群像社）
ディレッタントの旅（岩田貴、内田美恵子訳、群像社）
すばらしい冒険旅行（沼野恭子訳、新書館）

アルバム

紙の兵隊

外部リンク

ブラート・オクジャワの歌詞集（ロシア語）
バルドたちへのオマージュ ロシアNOW

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