ブリックハウス・ブラウン

ブリックハウス・ブラウン：アメリカン・プロレスのレジェンド

フレデリック・シーライトとして1960年8月11日にデラウェア州ウィルミントンで生まれたブリックハウス・ブラウン。リングネームである「ブリックハウス」は彼の強靭な肉体を、そして「ザ・ブラック・プリンス」の異名は彼の風格と人気を象徴するものです。彼は1982年、エディ・グラハムの下でプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせました。

彼のキャリア初期は、フロリダでの活動が中心でした。アイスマン・キング・パーソンズとの黒人タッグチームを結成し、ロス・ゲレロスらとの抗争で注目を集めます。その後、アラバマに活躍の場を移し、ノーベル・オースチンとのタッグでNWAサウスイースタン・タッグ王座を獲得するなど、タイトル獲得を重ねました。

1986年にはWWFへ参戦。ハーリー・レイスやカウボーイ・ボブ・オートンといった当時を代表するトップレスラーたちと対戦し、その実力を見せつけます。大物レスラー相手に善戦する姿は、彼の潜在能力の高さを示すものでした。

1987年からはテネシー州メンフィスのCWAで活躍。ジェリー・ローラーを破りAWA南部ヘビー級王座を獲得、この勝利は彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。CWAではビル・ダンディーやジェフ・ジャレットらトップレスラーとしのぎを削り、さらにAWAやWCWAなどの興行にも出場。1989年には、フロリダ時代のパートナーだったキング・パーソンズからWCWAテキサス・ヘビー級王座を奪取するなど、その勢いは留まることを知りませんでした。

CWAとWCWAの合併により設立されたUSWAでは、1990年代半ばまで活躍を続けました。USWA統一世界ヘビー級王座争奪トーナメントへの出場や、USWA世界タッグ王座を3度獲得するなど、主要タイトルを手にしています。この時代には、後に「ザ・ロック」として名を馳せることになるドウェイン・ジョンソン（当時フレックス・カバーナ）とも対戦しています。

2000年代に入ると、セミリタイアの状態ではありましたが、メンフィス・レスリングやNWAレッスル・バーミングハムなどのインディー団体にも出場し、プロレスラーとしての情熱を燃やし続けました。

2018年7月29日、膀胱癌のため57歳でこの世を去りました。彼の死はプロレス界に大きな衝撃を与えました。しかし、彼の功績は決して忘れられることはありません。2020年には、WWE殿堂のレガシー部門に迎えられ、その偉大な功績が後世に語り継がれています。

彼の得意技は、ドロップキック、ダイビング・ヘッドバット、ダイビング・クロスボディ、スインギング・ネックブリーカーなど、多彩な攻撃を操るレスラーでした。数々のタイトルを獲得し、多くの名レスラーたちと対戦したブリックハウス・ブラウンは、まさにアメリカン・プロレスの歴史に名を刻んだレジェンドと言えるでしょう。彼の活躍は、多くのプロレスファンに感動と興奮を与え続け、これからも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索