ノーベル・オースチン

ノーベル・オースチン：南部を熱狂させたタッグの名手

ノーベル・オースチン（Norvell Austin、1951年3月9日 - ）は、アメリカ合衆国フロリダ州ペンサコーラ出身の元プロレスラーです。1970年代から1980年代にかけて、フロリダ、アラバマ、テネシー、ジョージアなどアメリカ南部を主戦場に、主にタッグチーム・プレイヤーとして活躍しました。

初期のキャリアとスプートニク・モンローとの異色タッグ

1970年代初頭にデビューしたオースチンは、スプートニク・モンローのパートナーとしてヒール（悪役）のポジションで活動を始めます。1972年2月にはモンローと共に日本プロレスに初来日し、異彩を放ちました。帰国後もモンローとのコンビでNWA（ナショナル・レスリング・アライアンス）の南部テリトリーを転戦し、エディ・グラハムが主宰するフロリダ地区では、ジャック&ジェリーのブリスコ・ブラザーズとNWAフロリダ・タッグ王座を巡り激しい抗争を繰り広げました。当時、モンローとのコンビは白人と黒人による珍しいヒールの混成タッグチームとして、「Black is Beautiful, White is Wonderful（黒は美しく、白は素晴らしい）」をキャッチフレーズに観客を沸かせました。

テネシーでの活躍と南部タッグ王座戴冠

モンローとのチーム解散後、オースチンはメキシコ湾岸のガルフ・コースト地区を経て、1975年よりテネシー州メンフィスのNWAミッドアメリカ（後のCWA）に定着。ベビーフェイス（善玉）に転向し、パット・バレットやビル・ダンディーとタッグを組み、ハリウッド・ブロンズなどのチームと南部タッグ王座を争いました。1970年代末にはジム・バーネットが運営するジョージア地区にも進出し、黒人レスラーの先輩であるルーファス・ジョーンズとタッグを結成。1979年4月25日には、イワン・コロフ&オレイ・アンダーソンからNWAジョージア・タッグ王座を奪取しました。また、ジュニアヘビー級戦線でも活動し、アラバマのSECWではトニー・チャールズとUSジュニアヘビー級王座を争いました。

国際プロレス参戦とオリジナル・ミッドナイト・エクスプレス結成

1980年9月には、ビル・ドロモ、ロン・バス、そして第2次シリーズより参加のビッグ・ジョン・クインやアレックス・スミルノフらと共に、当時アラバマやテネシーからの外国人招聘ルートを持っていた国際プロレスに来日。エースのラッシャー木村をはじめ、大木金太郎や阿修羅・原ともシングルマッチで対戦しました。帰国後もベビーフェイスのポジションでSECWを主戦場としていましたが、1981年に再びヒールターン。ランディ・ローズ&デニス・コンドリーとミッドナイト・エクスプレス（The Midnight Express）を結成し、1980年代に一世を風靡した歴史的タッグチーム・ユニットのオリジナル・メンバーとなりました。1982年には古巣テネシーのCWAにて、コンドリーとのコンビでAWA南部タッグ王座を再三獲得し、スティーブ・カーン&スタン・レーンのファビュラス・ワンズなどのチームと激しい抗争を展開しました。

プリティ・ヤング・シングス結成とUSタッグ王座獲得

オリジナル版ミッドナイト・エクスプレスは1983年末に一旦解散。オースチンはCWAに継続参戦し、1984年よりココ・ウェアとの黒人タッグチーム、プリティ・ヤング・シングス（The Pretty Young Things）を結成しました。PYTエクスプレス（The PYT Express）とも呼ばれ、トミー・リッチ&エディ・ギルバートのニュー・ファビュラス・ワンズ、イライジャ・アキーム&カリーム・モハメッドのザンブイ・エクスプレスなどとAWA南部タッグ王座を争いました。テキサス州ダラスのWCCWや古巣のフロリダ地区にも進出し、フロリダではパーシー・プリングル3世をマネージャーに迎え、1985年2月26日にジェイ・ヤングブラッド&マーク・ヤングブラッドのレネゲード・ウォリアーズからUSタッグ王座を奪取しました。

SECWヘビー級王座獲得と引退後の活動

PYT解散後はアラバマのSECWに戻り、フェイスターンしてブリックハウス・ブラウンと新コンビを結成。1986年1月6日にはエイドリアン・ストリートを破りNWAサウスイースタン・ヘビー級王座を獲得しました。

1980年代末に引退後は、2004年9月にアラバマのコンチネンタル・レスリングにレジェンドとして特別出場し、ランディ・ローズとのオリジナル・ミッドナイト・エクスプレスを再結成。往年のファンを沸かせました。

得意技

ダイビング・ヘッドバット
ムーンサルト・プレス

獲得タイトル

チャンピオンシップ・レスリング・フロム・フロリダ
NWAフロリダ・タッグ王座：1回（w / スプートニク・モンロー）
NWA USタッグ王座（フロリダ版）：1回（w / ココ・ウェア）
NWAミッドアメリカ / コンチネンタル・レスリング・アソシエーション
NWA南部タッグ王座（ミッドアメリカ版） / AWA南部タッグ王座：10回（w / スプートニク・モンロー、パット・バレット×2、ビル・ダンディー、デニス・コンドリー×3、ココ・ウェア×3）
ガルフ・コースト・チャンピオンシップ・レスリング / サウスイースタン・チャンピオンシップ・レスリング
NWAサウスイースタン・ヘビー級王座：1回
NWAサウスイースタン・タッグ王座：10回（w / ジミー・ゴールデン、ポール・オーンドーフ、ブラッド・アームストロング、デニス・コンドリー&ランディ・ローズ×6、ブリックハウス・ブラウン）
NWA USジュニアヘビー級王座（サウスイースト版）：5回
NWA USタッグ王座（ガルフ・コースト版）：1回（w / ロケット・モンロー）
ジョージア・チャンピオンシップ・レスリング
NWAジョージア・タッグ王座：1回（w / ルーファス・ジョーンズ）

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