ブリテンのレイア

ブリテンのレイア（Leir of Britain）は、ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』に登場する伝説的なブリトン人の王です。彼の物語は、ウィリアム・シェイクスピアの『リア王』の着想の源となりました。レイア王の伝説は、ウェールズ神話の海神スィール（Llŷr。リルも参照）の形から始まり、後に歴史的背景が付与されたと考えられています。また、アイルランドの伝説「リルの子供たち（Children of Lir）」とも関連があります。

ジェフリーの『ブリタニア列王史』によると、レイアは父ブラドッドの後を継いでブリタニア王となり、ブリタニアの王としては最長となる60年間統治しました。彼はソアー川（River Soar）沿いにカール・レイア（現在のレスター）という町を建設したとされています。

レイア王には王位を継承する息子がいませんでしたが、ゴルノリラ、レガウ、コルデイラ（コーデリア）という3人の娘がいました。レイアは特にコルデイラを溺愛していました。老齢に差し掛かり、レイアは王国を3人の娘とその婿に分割することを考えました。ゴルノリラとレガウは父親を愛していると甘言を弄しましたが、コルデイラは娘が父親を愛するのは当然であり、口に出して言う必要はないと答えたため、レイアを激怒させました。

その結果、レイアはゴルノリラをアルバニア公マグラウルスと、レガウをコーンウォール公ヘンウィヌスと結婚させ、王国を二分割して与えましたが、コルデイラには何も与えませんでした。その後、フランク人の王アガニップスがコルデイラに求婚し、レイアはこれを承諾しましたが、持参金は与えませんでした。時が経ち、レイアは老齢のため、娘たちの世話になろうとしました。まずゴルノリラの元を訪れると、マグラウルスが140人の衛兵を付けて保護してくれましたが、ゴルノリラはこれに反対し、2年後には衛兵は30人に減らされました。失望したレイアはレガウの元へ行きましたが、彼女はわずか5人の衛兵しか付けませんでした。再びゴルノリラの元に戻ると、与えられた衛兵はたった1人だけでした。

2人の娘に失望したレイアは、コルデイラのいるガリアへ渡ることを決意しました。コルデイラは温かく父を迎え、夫と共にレイアの栄光を取り戻すことを約束しました。アガニップス、コルデイラ、そしてレイアは大軍を率いてブリテンに進軍し、2人の娘とその婿を打ち破りました。その後、レイアは3年間ブリテンを統治し、亡くなるとコルデイラが王位を継承しました。コルデイラはソアー川の下に地下室を作り、そこに父レイアを埋葬しました。その地下室はローマの神ヤーヌスに捧げられ、毎年、レイアの墓の近くでヤーヌスの祭日が祝われたと伝えられています。

参考文献

ブリタニア列王史（訳：瀬谷幸男、南雲堂フェニックス）

関連項目

リア王 - シェイクスピアの四大悲劇の一つ。『ブリタニア列王史』とは異なり悲劇的な結末を迎えます。
* レア王 - 『リア王』とほぼ同時期に書かれた作者不明の戯曲。

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