ブリング・ザ・ハウス・ダウン

スレイド『ブリング・ザ・ハウス・ダウン』

『ブリング・ザ・ハウス・ダウン』（原題: We'll Bring The House Down）は、イギリスのロックバンド、スレイドが1981年3月13日に発表した9枚目のスタジオ・アルバムです。全英アルバムチャートで最高25位を記録し、バンドの再起を印象付けました。本作は、「マイ・ベイビーズ・ガット・イット」を除く全曲がバンド自身によるセルフプロデュースであり、1980年のレディング・フェスティバル出演後に初めてリリースされたスタジオ・アルバムでもあります。

背景

1976年以降、スレイドの人気は下降線をたどり、チャートアクションの低迷やライブの観客動員数の減少が見られました。1977年には、ポリドール・レコードとの契約解除、チャス・チャンドラーとの決別という苦境に立たされます。

しかし、1980年8月、オジー・オズボーン・バンドの出演キャンセルを受け、レディング・フェスティバルに代打として出演したことが転機となります。スレイドの演奏は高く評価され、その勢いに乗じて、9月にはフェスティバルでのライブ録音3曲を収録したEP『Alive at Reading』を発表。全英シングルチャートで最高44位を獲得しました。さらに同年11月、かつてのレーベルであるポリドール・レコードからコンピレーション・アルバム『Slade Smashes!』がリリースされ、全英アルバムチャートで最高21位を記録、12月までに20万枚以上を売り上げ、ゴールド認定を受けました。

1981年1月には、本作からの先行シングルとして「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」が発売され、全英シングルチャートで最高10位を獲得。そして、3月にアルバム『ブリング・ザ・ハウス・ダウン』がリリースされ、全英アルバムチャートで最高25位を記録しました。同月には、本作からの第2弾シングル「ホイールズ・エイント・カミング・ダウン」が発売されましたが、全英シングルチャートでは最高60位にとどまりました。

収録曲

特記がない限り、作詞作曲はノディ・ホルダーとジム・リーによるもの

1. ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン
2. ナイト・スターベイション
3. ホイールズ・エイント・カミング・ダウン
4. キャスティング・マイ・スペル
5. ニッ・ニッ・ノ
6. ホエン・アイム・ダンシン・アイ・エイント・ファイティン
7. デイジー・ママ
8. マイ・ベイビーズ・ガット・イット
9. ナッツ・ボルツ・アンド・スクリューズ
10. レミー・ラブ・イントゥ・ヤー

曲の解説

ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン: 1977年以来となる全英シングルチャートインを果たした作品。オールミュージックのジェフリー・ギンズバーグは「絶対に聴くべき」と評価しています。
ナイト・スターベイション: 1980年発売のEP『Six of the Best』に収録されていた楽曲で、イギリスではプロモーション・シングルとしても発売されました。
ホエン・アイム・ダンシン・アイ・エイント・ファイティン: 同じくEP『Six of the Best』に収録。オールミュージックのジャフリー・ギンズバーグは「純粋なクラシックスレイド」と評しています。
デイジー・ママ: 1979年発売のシングル「ジニー・ジニー」のB面曲です。
ナッツ・ボルツ・アンド・スクリューズ: EP『Return to Base』に収録されていた楽曲。この2曲は、アルバム収録にあたり、ポートランド・スタジオでリミックスされました。
レミー・ラブ・イントゥ・ヤー: 翌年、ジム・リーのソロ・プロジェクト「Greenfields of Tong」の楽曲「Poland」としてリメイクされ、スピード・レコードからシングル盤として発売。「レミー・ラブ・イントゥ・ヤー」は、1979年のスレイドファンクラブのファン投票「ベスト・アルバム・トラック」部門で2位に選ばれました。

クレジット

スレイド

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、リズムギター、プロデューサー
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル、音楽プロデューサー
ジム・リー - ベース、鍵盤楽器、シンセサイザー、バッキング・ボーカル、プロデューサー
ドン・パウエル - ドラム、プロデューサー

外部ミュージシャン

チャス・チャンドラー - プロデューサー（#8）
アンディ・ミラー - レコーディング・エンジニア
デイヴ・ガーランド、マーク・オドノヒュー - アシスタント・エンジニア
ジョージ・ペッカム - マスタリング・エンジニア
ローリー・リチャーズ - アートディレクション
チャス・チャンドラー - カバー・コンセプト

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