ブリーシンガメン

ブリーシンガメンは、北欧神話に登場する女神フレイヤが所有していたとされる、非常に有名な首飾りです。古ノルド語で「炎の装飾品」という意味を持ち、その美しさは神話の中でも特別な輝きを放っています。別名として、ブリージンガメン、ブリーシンガルの首飾り、ブリーシングの首飾りなどとも呼ばれています。

ソルリの話

『ソルリの話』には、ブリーシンガメンの興味深い起源が描かれています。フレイヤが、ドワーフのアールヴリッグ、ドヴァリン、ベルリング、グレールの4人から、彼らの要求に応える代償として手に入れたとされています。この物語は、フレイヤの美しさと、首飾りがいかに貴重なものであったかを物語っています。

しかし、この経緯を知ったロキがオージンに告げ口をしたことで事態は急変。オージンは激怒し、ロキに首飾りを盗ませます。そしてフレイヤに、首飾りを返す条件として、二人の王を永遠に戦わせるよう命じたとされています。

スリュムの歌

『スリュムの歌』では、トールが巨人に盗まれた武器を取り戻すため、フレイヤに変装する際にブリーシンガメンを身に着けたというエピソードが登場します。これは、首飾りが女神フレイヤの象徴として、いかに重要な役割を果たしていたかを示しています。

詩語法

『詩語法』では、ロキがフレイヤから首飾りを盗むも、ヘイムダルがロキと戦い、ブリーシンガメンを取り戻す物語が語られています。この戦いの中で、ヘイムダルは「ロキの敵」「フレイヤの首輪の探し手」と称えられ、ロキは「巨人と山羊とブリーシンガメンとイズンのリンゴの盗人」と呼ばれるようになりました。また、詩人ウールヴル・ウッガソンは、ブリーシンガメンを「美しき海の石」と表現しています。

ベーオウルフ

アングロ・サクソンの叙事詩『ベーオウルフ』にも、ブリーシンガメンは「ブロージンガメン」（ブロージング族の首飾り）として登場します。ベーオウルフに与えられた首飾りが、ブロージンガメンに匹敵するほど素晴らしいものであると語られています。この首飾りは、ハーマがエオルメンリーチから盗み出したものとされています。

ブリーシンガメンは、単なる美しい装飾品というだけでなく、北欧神話の女神フレイヤの象徴として、様々な物語に登場する重要なアイテムです。その美しさ、起源、そして物語における役割は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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