ブルー (渡辺真知子の曲)とは？意味をやさしく解説

ブルー (渡辺真知子)

「ブルー」は、シンガーソングライター渡辺真知子が1978年 8月21日にCBSソニー（現：ソニー・ミュージックエンタテインメント）からリリースした3枚目のシングルです。オリコンチャートでは最高位4位を記録し、累計売上は33.3万枚を超えるヒットとなりました。

楽曲制作の背景と渡辺真知子の想い

この楽曲について、渡辺真知子自身は特別な思い入れがあると語っています。デビュー後、3曲目にして初めて制作に関して「自由に作って良い」と指示された作品であり、自身の思うがままに作り上げたため、「とても可愛い曲」と感じているそうです。リリースされた1978年は、「迷い道」「かもめが翔んだ日」といったヒット曲を立て続けに発表し、テレビ出演など非常に多忙な日々を送っていました。睡眠時間も十分に確保できないほどだった当時の状況を表すエピソードとして、同時期に活躍していた中原理恵さんと共に、過労で倒れてしまう際の「美しい倒れ方」の練習をしていた、という逸話を明かしています。

音楽界からの評価

音楽評論家などからも評価が高かった楽曲です。特に松任谷由実は、ある雑誌での渡辺真知子との対談において、普段は渡辺の歌詞に対して「いまひとつ」と厳しい評価を示すことがあったにも関わらず、「ブルー」に関しては手放しで称賛したと伝えられています。

渡辺自身も、この楽曲に対する愛情から、10枚目のオリジナルアルバム『B♭m 愛することだけすればよかった』（1982年）の中で、「ブルー」を新たなアレンジで再録音しています。

B面曲「光るメロディ」に込められた心境

シングルのB面には「光るメロディ」が収録されています。この曲は、前作「迷い道」の予期せぬ大ヒットによって、服装や話し方など、それまでの自身の生活スタイルが大きく変化したことへの混乱や戸惑いを表現した楽曲だと、渡辺真知子はコメントしています。

歌詞には、「電車の窓の外を流れる景色」を「光るメロディ」と捉える一方で、「誰も私を見ないで」「都会が鳥かごなら私は逃げた鳥」「止まり木を探し続けて飛び疲れ果てる」といった、当時の渡辺自身の複雑な心象風景が赤裸々に描かれています。

シングル盤の仕様

シングルレコードの市販盤には、当時のCBSソニー盤で一般的に見られたオレンジ色のレーベル面の他に、「ブルー」という曲名にちなんでか、青色のレーベル面が存在するという特徴があります。

収録曲

1. ブルー
作詞・作曲：渡辺真知子／編曲：船山基紀
2. 光るメロディ
作詞・作曲：渡辺真知子／編曲：船山基紀

主なカバー事例

「ブルー」は多くのアーティストによってカバーされています。

矢野顕子
テレビで「ブルー」を聴いて気に入り、1980年代のスタジオライブでピアノ弾き語りによるカバーを披露。この音源は坂本龍一がパーソナリティを務めるラジオ番組『サウンドストリート』などで放送され、リスナーの間で話題となりました。
さらに1981年 8月21日には、NHK-FMの番組『サウンド・オブ・ポップス』で矢野顕子と渡辺真知子が共演。矢野は渡辺の目の前で「ブルー」の弾き語りを披露し、「この曲大好き！」と強い思い入れを語りました。渡辺もその演奏に喜び、「ぜひ歌ってください、印税払いますから。テープください」と応じたといいます。この番組では、渡辺の新曲「唇よ、熱く君を語れ」を二人がデュエットするという貴重な場面もありました。

岩崎宏美
2003年にリリースされたカバーアルバム『Dear Friends』に「ブルー」のカバーバージョンが収録されています。

* 藤井風
2017年、自身のYoutubeチャンネル「solakaze」にて、ピアノによる弾き語りカバー動画を公開しました。

ブルー (渡辺真知子の曲)