ブルー・ナ・ボーニャ

ブルー・ナ・ボーニャ（ボインの宮殿）

ブルー・ナ・ボーニャは、アイルランドのボイン川が蛇行する場所に位置する、新石器時代の墳墓、立石、その他の先史時代の遺跡群です。国際的にも重要な複合遺跡であり、時代を下って鉄器時代には墓地として、中世にはノルマン人の入植地として利用されました。1690年にはボイン川の戦いの舞台にもなっています。

この一帯は「ボイン渓谷」とも呼ばれますが、厳密には「ブルー・ナ・ボーニャ」自体を指す場合もあります。世界遺産に登録されているのは、アイルランドの国定史跡となっている地域です。

概要

780ヘクタールの広大な面積に、40もの羨道墳を含む先史時代の遺跡が点在しています。遺跡の大部分はボイン川の北側に集中しており、特に有名なのはニューグレンジ、ノウス、ドウスの墳墓群です。これらの巨石墳墓は川の屈曲部の稜線に建設されており、ノウスとニューグレンジは、より古い遺跡で使用されていた石を再利用していると考えられています。この地における初期の活動としては、中石器時代の狩人が残したと思われる火打石などが発見されています。

ボイン川の屈曲部では、上記の3つの墳墓に加えて、多くの囲い込みや巨石遺跡が確認されています。主な遺跡は以下の通りです。

ドウス・ホール羨道墳群
Cloghalea Henge
タウンレイホール羨道墳
モンクニュータウンヘンジと祭礼の泉
Newgrange cursus

これらの主要な巨石遺跡は、天文考古学上も重要な意味を持っています。ニューグレンジとドウスは冬至の太陽に、ノウスは春分の太陽に対応していると考えられています。周辺の遺跡群についても、他の天文現象との関連性が研究されています。また、ボイン渓谷全体のレイアウトやデザイン自体にも、天文学的な意味が込められている可能性が指摘されています。

ボイン渓谷は、西側、東側、南側を丘陵に囲まれ、北側はボイン川の支流であるマトック川が流れており、ほぼ完全に水で囲まれた地形となっています。先史時代の遺跡のほとんどが、この川の地峡に存在しています。

ブルー・ナ・ボーニャ案内センター

ニューグレンジとノウスへは、ブルー・ナ・ボーニャ案内センターから出発するガイド付きツアーでのみ入場できます。

世界遺産

ブルー・ナ・ボーニャは、以下の登録基準を満たし、世界遺産に登録されました。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(3) 現存する、または消滅した文化的伝統または文明の、唯一の、または少なくとも稀な証拠であること。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の優れた例であること。

参考文献

* Lewis-Williams, D and Pearce, D, Inside the Neolithic Mind, Thames and Hudson, London, 2005, ISBN 0500051380

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