ブーゲンビル (L9077)

フランス海軍支援輸送艦 ブーゲンビル (L9077)

ブーゲンビル(Bougainville)は、フランス海軍が運用していた中型支援輸送艦です。正式名称はBâtiment de Transport Moyen et de Soutien (BTMS)で、主にフランス核実験センター本部（DIRCEN）の指揮下、パペーテとムルロア環礁間の物資輸送を担っていました。1984年11月22日に発注され、フランス領ポリネシアにおける核実験活動に重要な役割を果たした艦艇です。

設計と能力

ブーゲンビルの設計は、同時期に計画されていたTCD-90型輸送揚陸艦（後のフードル級）を参考に、小型化した点が特徴です。最大の特徴は、艦内に設置されたウェルドックです。その大きさは長さ78.0メートル、幅11.8メートル（最狭部10.2メートル）を誇り、水深3.15メートルまで漲水可能でした。このウェルドックには、CTM型機動揚陸艇3隻、あるいはP400型哨戒艇といったサイズの哨戒艇を収容し、整備を行うことができました。

ウェルドックは、搭載甲板としても活用可能で、20フィート型コンテナを40個収容できました。貨物の積み下ろしには、右舷側に設置された37トンクレーンと、移動式25トンクレーンが活躍しました。さらに、右舷側の6メートル幅、耐荷重53トンのサイドランプから車両の搬入出もスムーズに行えました。ウェルドック上には、必要に応じて6メートル長の移設式プラットフォーム3個を設置することで、搭載能力をさらに向上させることもできました。

艦中部には、長さ26メートル、幅17メートルのヘリコプター甲板を備え、クーガー輸送ヘリコプター2機の運用が可能です。専用のハンガーは備えていませんでしたが、ヘリコプター用のジェット燃料を70立方メートル搭載していました。これらの多様な搭載能力と輸送手段により、ブーゲンビルは広範囲に渡る物資輸送と、必要に応じた車両・装備の整備を高い効率で行うことが可能でした。

運用と役割

ブーゲンビルの主な任務は、フランス領ポリネシアにおけるフランスの核実験活動への支援でした。パペーテとムルロア環礁間の物資輸送を担い、核実験に必要な資材や人員の輸送、そして使用済み資材の搬出などに大きく貢献しました。その活動は、フランスの核実験の歴史において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。ウェルドックやクレーン、ヘリコプター甲板といった多様な設備を備えていたことで、様々な状況下でも安定した輸送能力を発揮し、フランス海軍の作戦を支えたのです。

まとめ

ブーゲンビルは、フランス海軍が運用していた独自の能力を持つ支援輸送艦でした。ウェルドック、多様な搭載能力、そしてヘリコプター運用能力を兼ね備えたその設計は、フランスの核実験活動において不可欠な存在となりました。その活動は、フランス海軍の輸送能力の高さ、そして特殊な任務への対応能力を示す象徴的な存在と言えるでしょう。今後は、その技術的特徴や運用実績を研究することで、現代の軍事輸送における新たな知見が得られる可能性があります。

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