プジョー・307

プジョー307：フランスが生んだ多様なコンパクトカー

プジョー307は、フランスの自動車メーカー、プジョー社が2001年から2008年にかけて製造・販売した乗用車です。306の後継車種として登場し、安全性の向上と居住空間の拡大を追求した設計が特徴でした。

日本市場においては、3ドアハッチバック、5ドアハッチバックがまず導入され、その後、ステーションワゴンの307ブレークと307SW、そして電動格納式ルーフを備えたオープンカーの307CCが加わりました。バリエーションの豊かさが、幅広い顧客層からの支持を集めた要因の一つと言えるでしょう。

多様なボディタイプとパワートレイン

307シリーズは、ハッチバック、ステーションワゴン、そしてオープンカーという3つの主要なボディタイプを展開していました。ハッチバックモデルは、実用性とスポーティさを両立。ステーションワゴンモデルであるSWは、広々とした荷室と高いユーティリティを特徴としていました。特にSWは、後席頭上まで広がるパノラミックガラスルーフをオプション設定しており、開放的な車内空間を実現していました。シートアレンジも柔軟で、2列目以降のシートは1席単位で取り外しが可能でした。ブレークはSWと同様のボディながら、5人乗りのシンプルな構成でした。

エンジンは、主に1.6Lと2.0Lが搭載され、CCモデルには2.0Lエンジンのみが設定されていました。スポーティなグレードとしてSportも設定されており、2.0Lエンジンにチューニングを施し、よりパワフルな走りを実現していました。トランスミッションはマニュアルのみの設定でしたが、CCモデルではハンドル位置（右ハンドル/左ハンドル）の選択も可能でした。

WRCへの参戦

プジョーは、2004年から2006年にかけて、世界ラリー選手権（WRC）に307CCをベースとしたWRカー『307 WRC』で参戦しました。2000年から2002年にかけてマニュファクチャラーズタイトル3連覇を達成していたプジョー・スポールにとって、この挑戦は大きな注目を集めました。307 WRCは、様々な技術的課題を克服し、3勝を挙げましたが、タイトル獲得には至りませんでした。グループPSAの経営戦略変更に伴い、プジョーはWRCから撤退することとなりました。

日本市場における展開と歴史

日本市場では、2001年9月に3ドア/5ドアハッチバックが発売され、その後、2002年10月に307ブレーク/SWが追加されました。2003年10月の東京モーターショーではCCが参考出品され、翌2004年3月に正式に発売されました。2005年にはマイナーチェンジを行い、407を思わせるフロントマスクに変更されました。同時に、グレード体系も変更され、3ドアハッチバックとブレークは廃止されました。ハッチバックモデルはフェリーヌと名付けられ、新たなスタートを切りました。2006年にはSWに1.6Lモデルが追加され、同年10月にはフェリーヌの特別仕様車「Oxygo」が限定販売されました。

2008年、後継車種である308の発売により、日本における307シリーズの販売は終了しました。しかし、中国やブラジルなど新興国市場では、セダンを中心に生産・販売が継続されました。南米での生産は2011年に、中国での生産は2014年にそれぞれ終了しました。

プジョー307は、その多様なボディバリエーションと、WRC参戦による高いブランドイメージ、そして実用性とスポーティさを兼ね備えた魅力的な一台として、多くの自動車ファンの記憶に残るモデルとなっています。

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