プッシュ・ツー・トーク

プッシュ・トゥ・トーク（PTT）とは

プッシュ・トゥ・トーク（PTT）は、送信ボタンを押している間だけ音声が送信される通信方式です。プレストークや単信通信とも呼ばれ、半二重通信の一種です。無線電話や第三世代携帯[[電話]]の付加サービス、一部のインスタントメッセンジャーアプリで利用されています。

PTTの特徴

PTTの最大の特徴は、トランシーバーのように、ボタンを押している間だけ音声が送信される点です。このため、会話の際は、自分の発言が終わったら相手に送信権を渡すために「どうぞ」や「送れ」、終了時には「以上」や「終わり」などの合図を明確に伝える必要があります。また、多人数での同時会話（一斉送信、多数受信）が可能なシステムも多く存在します。

PTTの利用例

無線電話

業務無線では、自動車運転中にボタンを押すだけの簡単な操作で利用できることや、一斉同報通信が可能な点を活かし、トランシーバーの通話方式として広く利用されています。アマチュア無線でも、機器構成が単純になるため用いられます。

主なシステムは以下の通りです。

世界規模: 航空交通管制、アマチュア無線
日本国内: タクシー無線、MCA無線、防災無線、簡易無線、パーソナル無線、市民ラジオ、特定小電力トランシーバー

第三世代携帯[[電話]]

第三世代携帯[[電話]]では、PoC (Push-to-Talk over Cellular) と呼ばれる定額制のVoIPサービスでPTTが利用されました。無線IP電話との違いは、半二重通信であることと、音声の遅延時間が大きいことです。事前に登録した通話相手との会話やグループへの一斉同報通信が可能で、通話相手を変更しない限りダイヤル操作が不要で、専用ボタンを押すだけで通話できるため、自動車運転中の危険が比較的少ないとされていました。

ネクステル・コミュニケーションズが2002年に、スプリントPCS、ベライゾン・ワイヤレスなどが2003年に米国でサービスを開始し、主に業務向けに利用されました。また、オレンジが2004年にイギリスでサービスを開始しています。「Open Mobile Alliance」では、「Push-to-Talk over Cellular Phase One」として標準化が検討されましたが、2005年時点では完了しておらず、事業者間の相互接続の障害となっていました。

日本でのサービス

日本では、NTTドコモが「プッシュトーク」という商標で2005年11月にサービスを開始し、定額制料金プランを適用可能としました。auは同年12月に、テキストや画像をやりとりするチャットベースのサービス「Hello Messenger」にPTT機能を追加しましたが、通話定額制は適用されませんでした。ソフトバンクモバイル（現ソフトバンク）は、2006年冬発表の一部機種から「サークルトーク」（後にS!一斉トーク）という名称で開始しました。PTTサービスとしての定額制はありませんでしたが、パケット定額制オプションを適用できました。

しかし、若者の間でメールが主要な通信手段となり、キャリアによるユーザー囲い込み戦略として音声通話定額制が普及するにつれて、PTTの需要は業務用に限られるとの指摘がありました。結果として、利用者の減少により、NTTドコモは2010年9月30日に「プッシュトーク」を、auは2009年8月31日に「Hello Messenger」を、ソフトバンクモバイルは2011年9月30日に「S!一斉トーク」のサービスを終了しました。

その後、SkypeやLINEなどのインスタントメッセンジャーアプリのボイスチャットやIP電話が普及し、PTTはこれらのサービスに取って代わられています。

関連項目

電話
業務無線
* 複信

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