プッチーニ音楽祭

プッチーニ音楽祭：作曲家の故郷で奏でられる旋律

イタリアのヴィアレッジョ郊外、トッレ・デル・ラーゴ。この町は、かの有名な作曲家ジャコモ・プッチーニが晩年を過ごした地として知られています。そして、毎年7月から8月にかけて、この町で特別な音楽祭が開催されます。それが、プッチーニ音楽祭です。

プッチーニ音楽祭の歴史は、1930年にさかのぼります。台本作家のジョヴァッキーノ・フォルツァーノと作曲家のピエトロ・マスカーニが中心となり、プッチーニの代表作の一つである『ラ・ボエーム』が、この地で初演されました。翌年には『ラ・ボエーム』と『蝶々夫人』が上演され、音楽祭の幕開けとなりました。しかし、その後しばらくは中断の時期がありました。

本格的な復活は1949年、『西部の娘』の上演から始まります。そして、1966年には、マリーナに野外劇場が建設され、毎年開催される音楽祭へと発展していきました。

2006年には、ヴィアレッジョ市によって、25,000平方メートルもの広大な敷地に、3,200席を誇る新しい野外劇場「プッチーニ野外大劇場」が建設されました。同時に、リハーサルやワークショップに利用される600席のスタジオシアターも整備され、音楽祭はさらに充実したものとなりました。

現在では、毎年4作品ものオペラが4～5回上演され、約4万人の観客を魅了しています。世界中からオペラファンが集まり、プッチーニの音楽と、トッレ・デル・ラーゴの美しい景観を堪能しています。

この音楽祭には、これまで数々の名だたる歌手たちが参加してきました。ベニャミーノ・ジーリ、フランコ・コレッリ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ルチアーノ・パヴァロッティといった、誰もが知る巨匠たちの名前が、この音楽祭の歴史に刻まれています。ソプラノ歌手では、レナータ・スコット、カーティア・リッチャレッリ、フィオレンツァ・コッソットなどがその名を連ねています。

さらに、著名な演出家、ティート・ゴッビの演出家デビュー作は、この音楽祭での『トスカ』でした。そして、テノール歌手マリオ・デル＝モナコの引退公演は、『外套』という作品で幕を閉じました。プッチーニ音楽祭は、単なるオペラの上演にとどまらず、多くのオペラ史に残る出来事の舞台にもなってきたのです。

プッチーニ音楽祭は、作曲家の生涯と深く結びついた、歴史と伝統を誇る音楽祭です。プッチーニの故郷で、彼の作品が現代に蘇り、世界中のオペラファンを魅了し続けています。その美しい旋律は、これからもトッレ・デル・ラーゴの夜空に響き渡り続けることでしょう。

参考文献
Lynn, Karyl Charna, Italian Opera Houses and Festivals, Lanham, Maryland: The Scarecrow Press, Inc., 2005. ISBN 0-8108-5359-0
Puccini, Simonetta, (ed.), Giacomo Puccini in Torre del Lago, Viareggio, Tuscany: Friends of Giacomo Puccini's Houses Association, 2006. (in English)

外部リンク
* Puccini Festival official website

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