プリマス・ブレザレン

プリマス・ブレザレンの歩みと影響

プリマス・ブレザレン（The Plymouth Brethren）は、キリスト教の中でも特に保守的かつ福音主義的な立場を取る運動です。この運動は1820年代のアイルランドのダブリンに起源を持ち、公式には1831年に組織化されました。ブレザレンの名称は、聖書に由来する「兄弟たち」を意味しています。

当初、プリマス・ブレザレンの活動は、ジョージ・ウィグラムやベンジャミン・ウィルズ・ニュートン、そしてジョン・ダービといった指導者たちによって推進されました。彼らは教職制度を否定し、週に一度の聖餐を重視し、特定の教派に縛られない自由な教会のあり方を志向しました。このような理念は当時の信徒たちを大いに魅了し、運動の広がりを支える要因となりました。

運動が拡大する中で、他の信者たちもこのブレザレンの理念に共鳴し、ジョージ・ミュラーやロバート・チャップマンなどもその仲間として活動に参加しました。しかし、ミュラーやチャップマンを含む一部の信徒たちが持つ教義的理解と、ダービーの教義との違いから、次第に内部での意見の対立が顕著になりました。1858年には、メンバー間の教義の相違やあつれきが原因で、プリマス・ブレザレンはついに難しい決断を迫られ、内部分裂が起こりました。

この分裂の結果、プリマス・ブレザレンは二つの主要なグループに分かれました。

• - オープン・ブレザレン： 彼らは他の教派に対して比較的穏健な態度を持ち、信徒同士の交流を積極的に行います。
• - エクスクルーシブ・ブレザレン： 一方でこのグループは、教義に関する理解が異なる者とは一切の交流を持たない排他的な立場を取ります。

このような分裂後、各グループ内での教義体系や教え方はそれぞれ異なり、運動の思想も多様化しました。特に、ダービーによるディスペンセーション主義や患難前携挙説は広まりを見せましたが、他の指導者たち、特にジョージ・ミュラーやベンジャミン・ウィルズ・ニュートンは、患難後携挙説を支持し、意見が分かれることもありました。

このように、プリマス・ブレザレンの思想は、単一のものとして捉えるのは難しく、信徒個々の信仰や理解によって様々な解釈が存在します。そのため、例えばディスペンセーション神学を受け入れない信徒もいますし、教派の呼称として、日本においては「ブラザレン派」や「同胞派」、さらには「キリスト集会」といった言い方もされます。もちろん、プリマス・ブレザレンの影響下にある他の教派も存在します。

著名なブレザレンの人物たち

プリマス・ブレザレンの運動には多くの著名な人物が関与しています。

• - アンソニー・ノリス・グローブス： 初期の運動において大きな影響を与えた。
• - ジョージ・ミュラー： 孤児院を設立し、信仰に基づく慈善活動を行った。
• - ロバート・チャップマン： 教会運営や信徒の育成に貢献。
• - ジョン・ネルソン・ダービー： ディスペンセーション主義の理念を広めた。
• - ジョセフ・スクライヴェン： 「いつくしみ深き」を作詞したことで知られる。
• - フレドリク・ブルース： 神学的な議論に寄与した信徒。

また、日本においては乗松雅休が初の海外宣教師として活動し、多くの信者たちを惹きつけました。

文化的影響

プリマス・ブレザレンは多岐にわたる文化的な表現にも影響を与えています。特に注目すべきは、映画『リトル・ランボーズ』（2007年/イギリス・フランス合作）では、ブレザレン運動に関連するテーマや理念が描かれています。

以上のように、プリマス・ブレザレンは、その独自の教義や運動の背景から、今日でも多くの信徒や教会に影響を与え続けています。

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