プリョス

プリョス：ヴォルガ川畔の歴史と芸術が息づく美しい古都

プリョス（Plyos）は、ロシアのイヴァノヴォ州に位置する、ヴォルガ川の右岸に佇む人口約2000人の小さな町です。その歴史は古く、12世紀には既に集落が存在したとされています。しかし、1237年のモンゴル帝国の侵攻により一度は廃墟と化しました。

現在のプリョスは、1410年にモスクワ大公国によって、モスクワやコストロマを防衛するための要塞として再建されたのが始まりです。17世紀から18世紀にかけては、亜麻などの織物取引を中心に交易都市として繁栄しました。1778年には正式に都市としての地位を得ています。

しかし、1871年に鉄道がヴォルガ川まで延伸した際、プリョスではなく下流のキネシマに路線が敷かれたため、プリョスの経済的な重要性は低下しました。交易都市としての役割を失ったプリョスは、19世紀末には夏の避暑地として生まれ変わり、モスクワなどの大都市から多くの人々が訪れるようになりました。

20世紀に入り、1925年には市に昇格しましたが、ソ連崩壊後は人口が減少傾向にあります。しかし、その美しい景観と歴史的な魅力は失われることなく、現在では観光地として多くの人々を魅了しています。

プリョスの見どころ

プリョスは、ヴォルガ川沿いの数ある町の中でも、特に絵のように美しい町として知られています。

生神女就寝大聖堂（ウスペンスキー・ソボル）: 18世紀末に建てられたこの大聖堂は、プリョスの象徴的な存在です。
至聖三者聖堂（トロイツカヤ・ツェールコフィ）: 1808年に建てられたこの聖堂は、美しい装飾が特徴です。
救世主復活聖堂（ヴォスクレセンスカヤ・ツェールコフィ）: 1817年に建てられたこの聖堂は、壮麗な外観が印象的です。
聖ワルワラ聖堂（ヴァルヴァリンスカヤ・ツェールコフィ）: 1821年に建てられたこの聖堂は、35メートルの高さの鐘楼が目を引きます。

これらの聖堂以外にも、18世紀から19世紀にかけて建てられた石造りの商家が数多く残っており、歴史的な街並みを散策するのも楽しみの一つです。

町には歴史博物館や、画家イサーク・レヴィタンの美術館もあります。レヴィタンは1888年と1889年にプリョスに滞在し、多くの絵画を残しました。プリョスの自然や風景は、多くの芸術家たちにインスピレーションを与え、画家のアレクセイ・サヴラソフやオペラ歌手のフョードル・シャリアピンもこの地を訪れています。夏には演奏会や演劇などのイベントも数多く開催され、訪れる人々を楽しませています。

プリョスには、大規模な産業はほとんどありません。主な産業は観光業であり、ツアー客や保養客が多く訪れます。ヴォルガ川クルーズの寄港地にもなっており、船旅を楽しむ人々も多く訪れています。最寄りの鉄道駅はプリョスから約40km南西に位置しており、町へは車かバスでのアクセスとなります。

プリョスは、その美しい景観と歴史的な魅力により、訪れる人々に特別な体験を与えてくれるでしょう。ヴォルガ川の雄大な流れを背景に、芸術と歴史が息づくこの町をぜひ訪れてみてください。

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