プログラミング言語年表

プログラミング言語 年表：計算機科学の歴史を紐解く

この年表は、初期の機械式計算機から現代の高度なプログラミング言語に至るまでの歴史をたどり、プログラミング言語の発展と、その背景にある計算機科学の進歩を概観します。個々の言語の詳細については、それぞれの個別記事を参照ください。

1940年以前：計算の概念と機械化

プログラミング言語の歴史は、現代のコンピュータ以前から始まります。1842年から1843年にかけて、エイダ・ラブレスはチャールズ・バベッジの解析機関について記述したルイジ・メナブレアの論文を翻訳し、その中でベルヌーイ数を計算するプログラムを掲載しました。これは、世界初のコンピュータプログラムとされています。ただし、これは機械語レベルの命令であり、現在の意味でのプログラミング言語とは異なります。

1801年に発明されたジャカード織機は、パンチカードを用いて模様を織り込むことで、プログラム可能な装置の概念を示唆しました。その後、ハーマン・ホレリスは、パンチカードをデータ記録に利用するシステムを開発し、国勢調査に応用しました。

1900年前後からは、数学基礎論や数理論理学の分野で、計算を形式的に表現する研究が進展しました。アロンゾ・チャーチによるラムダ計算やアラン・チューリングによるチューリングマシンの提案は、計算可能性理論の基礎を築き、チャーチ＝チューリングのテーゼへと繋がりました。ラムダ計算は現代の関数型言語Haskellの基礎にもなっています。

1940年代：電子計算機の登場と初期の言語

1940年代に電子式コンピュータが登場すると、プログラミングは機械語やアセンブリ言語で行われるようになりました。この時代には、プログラムの作成とデバッグは非常に困難な作業でした。1948年にはコンラート・ツーゼがプランカルキュールを発表しましたが、当時は実装されませんでした。この時代のコンピュータには、現代のブートローダに相当する機能を持つものも多くありました。

1950年代後半-1960年代半ば：高水準言語の誕生

1950年代後半から、人間にとって分かりやすい高水準言語の開発が始まりました。FORTRAN、COBOL、LISP、ALGOLなどがこの時代に誕生し、科学技術計算、事務処理、人工知能などの分野で利用されました。FORTRANは科学技術計算、COBOLは事務処理、LISPは人工知能の分野で広く普及しました。ALGOLは構造化プログラミングの概念を導入した重要な言語ですが、当時のコンパイラ技術の限界から広く普及するには至りませんでした。BASICは、マイクロソフトによって普及し、8ビットパソコン時代の主要言語となりました。

1960年代後半-1970年代：構造化プログラミングとオブジェクト指向

この時代には、C言語とその派生言語、オブジェクト指向プログラミングの概念が登場しました。C言語はシステムプログラミングの中心的な言語となり、現在でも広く使用されています。Simulaはオブジェクト指向の概念を最初に導入した言語であり、C++やSmalltalkなどの後続言語に大きな影響を与えました。Pascalは教育用言語として広く普及し、後のObject PascalやDelphiの基礎となりました。Prologは人工知能研究で用いられる重要な言語となりました。SQLは関係データベースの管理のための言語として開発され、その後、多くの拡張が加えられました。Adaはアメリカ国防総省が開発した言語であり、ジェネリックプログラミングや例外処理などの先進的な機能を備えていました。

1980年代：パーソナルコンピュータと新しい言語

1980年代には、パーソナルコンピュータの普及により、BASICが爆発的に普及しました。C言語はUnixとともに広く使用されるようになり、C++はオブジェクト指向機能を追加した言語として登場しました。Object-C、Perl、PostScriptなどもこの時代に開発されました。Common Lispは、既存のLISP方言を統合した言語として登場しました。

1990年代：GUI環境とスクリプト言語

1990年代には、GUI環境の普及に伴い、GUIアプリケーション開発を支援するツールやビジュアルプログラミング言語が盛んになりました。また、シェルスクリプトやAwk、Perlに続く様々なスクリプト言語が登場しました。Python、Ruby、Lua、Javaなどの言語は、この時代に開発され、現在でも広く使用されています。Visual BasicはWindowsアプリケーション開発で広く普及しました。

2000年代：ネットワークと安全性

情報機器のネットワーク化により、セキュリティが重要な課題となりました。バッファオーバーフローなどの脆弱性を防ぐための安全な言語の利用が増加しました。C#、F#、Scala、Goなどの新しい言語が登場しました。また、GPUプログラミングのための言語も開発されました。

2010年代以降：関数型プログラミングの影響と進化

新しいプログラミング言語は、関数型プログラミングに影響を受けたオブジェクト指向言語が中心となっています。既存の主流言語も、頻繁にアップデートされ、機能が強化されています。Rust、Dart、Kotlin、Julia、Swiftなどの言語が開発されました。

この年表は、プログラミング言語の歴史における主要な出来事を示したものであり、網羅的なものではありません。各言語の詳細は、それぞれの個別記事を参照してください。

もう一度検索