プログレスM-41

概要

プログレスM-41（ロシア語: Прогресс М-41）は、ロシア連邦が1999年に運用した無人宇宙補給機です。プログレス補給船ファミリーの241番目の機体として製造されました。この宇宙船の主要な目的は、当時地球周回軌道にあった宇宙ステーション「ミール」に対して、その運用を継続するために不可欠な物資を輸送することでした。ミールは長期にわたる有人滞在を支えるための物資補給に、こうしたプログレス補給船に依存していました。

打ち上げ

プログレスM-41の打ち上げは、1999年 4月2日、モスクワ時間の14時28分43.093秒（協定世界時（UTC）では11時28分43秒）に実行されました。打ち上げ場所は、中央アジアのカザフスタン共和国に位置する広大な宇宙開発施設、バイコヌール宇宙基地です。具体的には、歴史的に数多くの打ち上げが行われてきた1/5発射台が使用されました。機体を宇宙へ送り出したのは、信頼性の高いソユーズ-Uロケットでした。ソユーズ-Uはプログレス補給船やソユーズ宇宙船の打ち上げに長らく用いられてきた実績のあるロケットシステムです。

軌道上での運用とミールへのドッキング

打ち上げから約2日後、プログレスM-41は無事に目的地の宇宙ステーション「ミール」に到達しました。ドッキングは1999年4月4日、モスクワ時間15時46分49秒（UTC 12時46分49秒）に成功しました。ドッキング先は、ミール宇宙ステーションを構成するモジュールの一つであるクバント1でした。ミールとプログレスM-41とのランデブーおよびドッキングは、高度な自動操縦システムによって行われました。これは、地上の管制センターからの指令と、機体自身の搭載コンピュータによる軌道計算および接近制御によって、正確かつ安全に実行されるプロセスです。自動化されたシステムは、宇宙飛行士の手を煩わせることなく、精密な操作を可能にしました。

搭載された貨物

プログレスM-41は、ミール宇宙ステーションで活動するクルーの生活維持と、ステーション本体の運用・維持に必要な様々な物資を搭載していました。輸送された貨物の総重量は、2438.3 kgに及びました。搭載品目は多岐にわたりました。

ステーションの軌道高度維持や姿勢制御に使用される燃料
宇宙飛行士の呼吸に必要な酸素混合物
軌道上での科学実験や観測に使用される科学機器
船外活動などで宇宙飛行士の安全を守る個人用保護具
* 長期滞在クルーのための食料品や生活用品などの各種消耗品

これらの標準的な補給物資に加え、プログレスM-41には「モジュール-M」と呼ばれる特定の装置が積載されていました。また、人道的な、あるいは象徴的な側面として、当時ミールに長期滞在していたロシアの宇宙飛行士セルゲイ・アヴデエフ氏に対し、特別な貨物としてロシア連邦憲法が届けられたことも記録に残っています。これは、宇宙空間という極限環境においても、国家の基本的な規範が尊重されるべきであることを示す出来事と言えます。

ドッキング解除と運用終了

約3ヶ月間にわたりミール宇宙ステーションに結合し、搭載物資の搬入や、機体の姿勢制御スラスターを用いたステーションの軌道修正などの任務を完了した後、プログレスM-41はミールからの分離プロセスを開始しました。ドッキング解除は1999年 7月17日、モスクワ時間14時20分44秒（UTC 11時20分44分）に実行されました。ミールから安全な距離まで離れた後、プログレス補給船はその役目を終え、通常は軌道を離脱して地球の大気圏に再突入し、燃え尽きることで処分されます。これは、宇宙空間にデブリを残さないための一般的な方法です。プログレスM-41も、このプロセスを経て運用を終了したと考えられます。

結論

プログレスM-41は、1999年のミール宇宙ステーションの運用維持において重要な役割を果たした無人補給船でした。燃料、酸素、実験機器、生活物資といった生命線となる物資を確実に届け、長期滞在クルーの活動とステーションの機能を支えました。特に、約2.4トンにも及ぶ多様な貨物を輸送し、自動ドッキングという高度な技術を駆使して任務を遂行したことは、当時の宇宙輸送技術の成熟を示す事例と言えます。

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