プログレスMS-01

プログレスMS-01（ロシア語名: Прогресс МС-01）は、ロシアの宇宙開発機関ロスコスモスが開発・運用する無人宇宙補給船、プログレスシリーズの改良型であるプログレス-MSシリーズの記念すべき初号機です。国際宇宙ステーション（ISS）へ食料、水、燃料、実験機器、その他の必需品を輸送する重要な役割を担いました。NASAやJAXAにおいては、補給ミッションの通し番号として「プログレス62」、または単に「62P」という名称でも記録されています。

本機の打ち上げは、当初2015年11月21日を予定していましたが、計画が見直された結果、約1ヶ月延期されました。最終的に2015年12月21日協定世界時（UTC）8時44分39秒、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地から、ソユーズ2.1aロケットによって宇宙へ送り出されました。注目すべき点として、この打ち上げは、過去に発生したプログレスM-27Mの失敗以降、初めてソユーズ2.1aがプログレス補給船の打ち上げに使用された事例となります。それまでのミッションでは、ソユーズUロケットが主に使用されていました。

宇宙空間に到達したプログレスMS-01は、計画通りにISSへのランデブー軌道に乗りました。打ち上げから約2日後の2015年12月23日UTC 10時27分、ISSのロシアモジュール「ピアース」に無事ドッキングしました。これにより、ISS長期滞在クルーへの物資輸送という任務が達成されました。

プログレス-MSシリーズは、従来のプログレス-Mシリーズから大幅な技術的アップグレードが施されています。プログレスMS-01は、これらの改良が初めて実証された機体です。主な改善点としては、通信機能と電子機器の性能向上が挙げられます。特に、地上管制局との通信において、静止軌道にある中継衛星「ルチ」を介した通信が可能になったことは画期的でした。これは、プログレス補給船だけでなく、ソユーズ宇宙船にとっても初めて導入された技術です。

その他にも、以下のような多数の改良が行われました。

ドッキング誘導システムが、旧式のアナログ式「クルスA」から、より高性能なデジタル式「クルスNA」に更新され、アンテナの設計も見直されました。
ロシア版GPSともいえるGLONASSを用いた誘導システムにより、より高精度な自律航行が可能になりました。
宇宙船内部の監視や状況報告に使用されるTVシステムが、従来のアナログ方式からデジタル方式に変更され、補給船とISS間での無線による映像伝送能力が向上しました。
制御系の冗長性を高めるためのバックアップデジタル制御ユニットが最新のものに更新されました。
微小な宇宙塵やデブリからの保護を強化するため、対流星塵シールドが改良されました。
船内の照明システムに、省電力で長寿命なLED照明が採用されました。
機体の姿勢制御を担う角速度センサが刷新され、性能が向上しました。
ISSへのドッキングポートに、万が一の事態に備えたバックアップの電気駆動機構が追加されました。

これらの技術改良により、プログレス-MSシリーズは、より信頼性が高く、効率的なISSへの補給手段としての能力を獲得しました。

なお、プログレスMS-01を軌道に乗せたソユーズ2.1aロケットの上段部分は、打ち上げ翌日の2015年12月22日UTC 5時30分頃、アメリカ合衆国のアリゾナ州およびネバダ州の上空で大気圏に再突入しました。プログレスMS-01本体のその後の運用や再突入に関する具体的な情報は、本資料には含まれていません。

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