プロトアクチニウム

プロトアクチニウムについて



プロトアクチニウム（英: protactinium）は、原子番号91の元素で、元素記号は Pa です。アクチニウイド系列に属し、全ての同位体が放射性であるという特性を持っています。プロトアクチニウムは、銀白色の金属で、常温での結晶構造は正方晶系ですが、約800℃に加熱されると体心立方格子に変化します。比重は理論値で15.37、融点は1575℃、沸点は4000℃とされています。

物理的性質と化学的性質



空気中では徐々に酸化が進み、酸に対してはやや難溶ですが、酸素および水蒸気とは化学反応を起こします。酸素と同反応する際は、表面が曇る現象が見られることがあります。一方で、アルカリにはほとんど溶解しません。プロトアクチニウムは展性と延性を持ち、化学的性質は近隣元素のニオブやタンタルに似ていると言われています。安定した原子価は+5であることから、その化学的特性の理解に役立っています。

名称の由来



プロトアクチニウムは、α崩壊によってアクチニウム（actinium）に変わることに由来しており、「プロト（proto）」は元になることを示します。この名は1918年に名づけられ、1949年には現在の名称に短縮されました。

歴史



1869年、メンデレーエフはこの元素の存在を予測し、その後1871年には「エカタンタル（ekatantalum）」という名前が付けられました。その後、プロトアクチニウム234が偶然にも発見され、続いて1917年にリーゼ・マイトナーとオットー・ハーンによってプロトアクチニウム231が発見されました。1961年には約99.9%の純度のプロトアクチニウムが生成されるようになり、研究が進みました。

用途と存在



プロトアクチニウムは、その微小な存在量と強い毒性からあまり利用されていませんが、ウラン235のα崩壊の際に生成されるプロトアクチニウム231は、核燃料として有望視されている他、海底沈殿物の年代測定にも活用されています。自然界においては、ウラン鉱石中にわずかに存在し、ウランの崩壊過程で生成されることが知られています。

同位体



プロトアクチニウムには29種類の同位体が確認されていますが、安定同位体は存在せず、全てが放射性です。天然には4種類の同位体が存在しており、その中で最も長い半減期を持つのがプロトアクチニウム231であり、その半減期は32760年です。また、217mPa（1.15ミリ秒の半減期）および234mPa（1.17分の半減期）という2つの核異性体も確認されています。

人体への影響



プロトアクチニウムは強い放射能を持ち、猛毒性も備えており、特にプルトニウムのアルファ線と同等の発癌性を持つことがわかっています。したがって、この元素とその化合物に対しては取り扱いには十分な注意が必要とされています。

化合物



プロトアクチニウムに関連する化合物として、次のようなものがあります：

これらの化合物は、プロトアクチニウムを化学的に理解する上で重要な役割を果たしています。

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