プロパフェノン

プロパフェノン（Propafenone）についての詳細

プロパフェノンは、Ic群に分類される抗不整脈薬であり、主に心房頻拍や心室頻拍といった頻脈性不整脈の治療に用いられます。特に、他の抗不整脈薬が使用できない場合や効果が見られない場合に推奨される薬剤です。商標名は「プロノン」です。

効能・効果

プロパフェノンの主な効能は、頻脈性不整脈の治療です。これは特に、他の抗不整脈薬が効果を示さないか、使用できない患者に適しています。

禁忌と注意点

使用が禁止されている患者には、以下のような条件があります：

• - 鬱血性心不全の患者
• - 高度の房室ブロックまたは洞房ブロックの患者
• - リトナビル、ミラベグロン、テラプレビル、アスナプレビルを投与中の患者

慎重に投与すべき患者には、次のような条件があります：

• - 基礎心疾患（心筋梗塞、弁膜症、心筋症等）がある患者
• - 刺激伝導障害（房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等）がある患者
• - 明らかな洞性徐脈や肝機能障害のある患者
• - 高齢者や重篤な腎機能障害、血清カリウム低下が見られる患者も注意が必要です。

副作用

プロパフェノンは、重大な副作用も報告されています。具体的には、心室頻拍や心室細動、洞停止、房室ブロック、徐脈、失神、肝機能障害、黄疸などが含まれます。これらはすべて頻度が不明とされていますが、使用成績調査では副作用発現率が6.9%とされています。特に、眩暈や動悸、脚ブロック、倦怠感などが主な副作用として挙げられます。

作用機序

プロパフェノンは、ナトリウムチャネルを選択的に阻害し、心筋細胞内へのナトリウムイオンの流入を遅くします。これにより、脱分極速度を抑え、心室細動の閾値を上昇させ、興奮伝導を抑制することで、心筋の有効不応期を延長させます。結果的に、心筋細胞の興奮性を低下させ、頻脈性不整脈を治療する効果を発揮します。プロパフェノンは、他の抗不整脈薬と同様に、催不整脈作用を持つため注意が求められます。

薬物動態

プロパフェノンは消化管から良好に吸収されますが、肝臓での初回通過効果により生物学的利用能は約50%となります。血中半減期は2～3時間で、主に肝臓で代謝され、特にCYP2D6、CYP3A4、CYP1A2が関与しています。代謝能の飽和現象が認められ、服用量が300mgの場合、血中未変化体の濃度は100mgの場合の約10倍に達することがあります。

治療開始時の注意

プロパフェノンを服用開始する際は、通常入院して心電図モニタリングを行うことが望まれます。用量は個々の不整脈の種類に応じて異なりますが、しばしば比較的高用量（450–900mg/日）で開始され、その後調整が行われることが一般的です。

経済的な理由と外来開始

経済的な理由などから外来での服用開始もありますが、どのような患者が安全に服用できるかに関しては明確なガイドラインがありません。そのため、プロパフェノンは心機能が比較的保存されている患者に適していると言えます。

立体化学

プロパフェノンは2つのエナンチオマーを含む立体中心を持つラセミ体であり、これは「R」と「S」の1:1混合物です。

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