プロビデンス級ミサイル巡洋艦

プロビデンス級ミサイル巡洋艦

プロビデンス級ミサイル巡洋艦（Providence-class guided missile light cruiser）は、アメリカ海軍が運用したミサイル巡洋艦の艦級です。本級は、第二次世界大戦中に建造されたクリーブランド級軽巡洋艦を、艦対空ミサイルを搭載できるように改装したものです。

来歴

第二次世界大戦後、アメリカ海軍は新たな対空兵器として艦対空ミサイルの開発に着手しました。これらのミサイルシステムは、その大きさと重量から既存の艦艇への搭載が難しく、まず大戦中に建造された巡洋艦を改装して搭載することになりました。

1952年度には、ボルチモア級重巡洋艦2隻がテリアミサイルを搭載し、ボストン級ミサイル巡洋艦として再就役しました。これに続き、1956年と1957年度には、予備役となっていたクリーブランド級軽巡洋艦をミサイル巡洋艦に改装する計画が立案されました。当初は9隻の改装が検討されましたが、同時期に新造ミサイル艦の計画も進められていたため、最終的にテリアミサイル搭載艦3隻とタロスミサイル搭載艦3隻、合計6隻が改装されることになりました。プロビデンス級は、このうちテリアミサイルを搭載した3隻を指します。タロスミサイルを搭載した艦はガルベストン級として知られています。

設計

プロビデンス級は、艦の後部を改装し、テリア艦対空ミサイルシステムを搭載した構成となっています。艦尾甲板には、Mk.9 mod.1連装発射機1基（搭載弾数120発）が設置され、その直前の後部上構には、AN/SPQ-5火器管制レーダー2基が背負式に配置されました。レーダーは、前檣に対空捜索レーダー、中檣に3次元レーダー、後檣に高角測定レーダーが設置されています。一部の艦では、3次元レーダーと高角測定レーダーの設置位置が逆になっていました。

「トピカ」では、艦首側の47口径15.2cm3連装砲2基と38口径12.7cm連装砲3基が維持されましたが、「プロビデンス」と「スプリングフィールド」では、更に15.2cm3連装砲1基と12.7cm連装砲2基が撤去され、艦橋構造物が拡張され旗艦設備が追加されました。また、40mm機銃と20mm機銃は全て撤去されました。主方位盤としてMk.34、副方位盤としてMk.37が搭載されました。

艦尾甲板にはヘリコプター甲板が設けられ、小型ヘリコプター1機を搭載することができましたが、格納庫は備えられていませんでした。1960年代初頭には、QH-50 DASHの運用能力が付与され、AN/SQS-23ソナーも搭載され、対潜戦能力が強化されました。

兵装要目

テリア艦対空ミサイルシステム
Mk.9 mod.1連装発射機 (120発搭載)
47口径15.2cm3連装砲 (艦によって異なる)
38口径12.7cm連装砲 (艦によって異なる)
AN/SPQ-5火器管制レーダー
AN/SPS-40対空捜索レーダー
AN/SPS-30 3次元レーダー
AN/SPS-8 高角測定レーダー
AN/SQS-23ソナー
QH-50 DASH (対潜ヘリコプター)

同型艦

CLG-6 プロビデンス (USS Providence)
CLG-7 スプリングフィールド (USS Springfield)
CLG-8 トピカ (USS Topeka)

出典

GlobalSecurity.org (2011年). “CLG-6 Providence” (英語). 2018年3月9日閲覧。
Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325
Hays, Phillip R. (2018年). “Cleveland Class Light Cruiser History”. 2018年3月8日閲覧。
Moore, John E. (1975). Jane's Fighting Ships 1974-1975. Watts. p. 421. ASIN B000NHY68W
梅野, 和夫「アメリカ巡洋艦史」『世界の艦船』第464号、海人社、1993年4月。
大塚, 好古「米艦隊防空艦発達史」『世界の艦船』第769号、海人社、2012年11月、90-97頁、NAID 40019440596。
大塚, 好古「列国の第1世代艦隊防空ミサイルとその搭載艦 (特集 現代の艦隊防空)」『世界の艦船』第838号、海人社、2016年6月、100-105頁、NAID 40020832575。

外部リンク

hazegray.org
US Naval Historical Center

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