秋田雨雀

秋田 雨雀 (あきた うじゃく)

秋田雨雀（1883年1月30日 - 1962年5月12日）は、日本を代表する劇作家、詩人、童話作家、小説家、そして社会運動家です。本名は徳三（とくぞう）で、青森県南津軽郡黒石町で生まれました。彼の父は産科医であり、母まつの長男として育ちました。

学生時代と初期の活動

彼は黒石尋常小学校と青森県立第一尋常中学校を卒業後、東京専門学校英文科に入学しました。在学中の1904年には詩集「黎明」を刊行し、文筆家としての活動を開始しました。1908年には、恩師である島村抱月の推薦で『早稲田文学』に小説「同性の恋」を発表しました。さらに小山内薫のイプセン研究会に参加し、戯曲への興味を深めました。1909年には自由劇場に参加し、1911年には「自由劇場」の第四回公演で自身の戯曲「第一の暁」が初めて上演されました。

劇団活動と幅広い執筆

1913年に島村抱月と共に劇団・芸術座を設立しますが、翌年に脱退し、沢田正二郎と共に美術劇場を結成しました。その後も芸術座や先駆座などさまざまな劇団に参加し、同時に小説や詩、童話、評論、翻訳と多彩なジャンルで執筆を続けました。

特に1915年には来日したワシーリー・エロシェンコと親交を結び、エスペラント言語を学びます。その後、文化人との交流を深め、1921年にはエスペラント教本『模範エスペラント独習』を小坂狷二と共に出版しました。1931年には日本プロレタリアエスペランチスト同盟（JPEU）の設立に参加するなど、彼は社会活動にも積極的でした。

社会主義への関与と後年

1921年からは日本社会主義同盟に参加し、1924年にはフェビアン協会を設立しました。1927年にはロシア革命の十周年祭に国賓として招かれ、その後1940年に検挙されるという事態にも見舞われました。新協劇団には1934年に参加し、事務長を務めた後、雑誌「テアトロ」を創刊しました。

戦後の1947年には日本社会党公認で第1回参議院議員通常選挙に立候補しましたが、結果は落選に終わります。同年には東京都豊島区にあった舞台芸術学院の院長に就任し、1949年に共産党に入党しました。さらに1950年には日本児童文学者協会の第2代会長に就任しました。

晩年と遺産

1960年には黒石市の名誉市民として表彰され、1962年に結核と老衰のために亡くなりました。彼の墓は東京都豊島区の本納寺にあります。彼は幅広いジャンルで多くの著書を残し、その業績は今でも多くの人々に影響を与えています。

主な著作

• - 『幻影と夜曲』 (1911)
• - 『埋れた春 戯曲』 (1913)
• - 『三つの魂』 (1918)
• - 『国境の夜 戯曲集』 (1921)
• - 『骸骨の舞跳』 (1925)
• - 『あかつきえの旅 五十年自伝記録』 (1950)

彼の娘はロシア文学者の上田進に嫁いでおり、秋田雨雀の家族や彼の作品を通じて、彼の文学的な影響が後世に受け継がれています。

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