ヘクター'87

『ヘクター'87』は、ハドソンが開発し1987年7月16日に発売されたファミリーコンピュータ用縦横両スクロールシューティングゲームです。同年に開催された「第3回TDK全国ファミコンキャラバン」の公式ソフトとして使用されました。

ゲーム内容

プレイヤーは自機「ノア号」を操作し、対空攻撃の光粒子砲と対地攻撃のクラスター爆弾を駆使して全6ステージを攻略します。ステージは縦スクロールと横スクロールが交互に展開され、各ステージの最深部にはボスが待ち構えています。ライフ制を採用しており、1回の被弾ではミスになりませんが、壁や特定の敵に接触するとライフが最大でもミスとなります。ステージには補給ポイントが設置されており、クラスター爆弾を撃ち込むことでエネルギーを回復できます。エネルギー満タン時にカプセルを取得すると得点が加算されるため、スコア稼ぎの要素もあります。

一方で、自機のパワーアップがない、当たり判定が大きい、敵の耐久力が高いなど、難易度は比較的高めです。ミスをするとステージの最初からやり直しとなり、敵の出現パターンが固定配置であるなど、『スターフォース』や『スターソルジャー』といった従来の作品とは異なるゲーム性が特徴です。キャラバン大会では、これまで禁止されていた連射機能付きコントローラー「ジョイカードMk-II」の使用が認められました。

全6面をクリア後にタイトル画面に戻り、再度ゲームを開始すると、自機が『ボンバーキング』の主人公「ナイト」に変わり、敵弾の速度が2倍になるハードモードをプレイできます。ハードモードではタイトル画面のHECTORロゴが黄色に変化し、判別可能です。

縦スクロール面の特徴

敵は空中物と地上物に区別され、それぞれ光粒子砲とクラスター爆弾でのみ破壊可能です。クラスター爆弾は投下直後から攻撃判定を持ち、射程制限なく直進します。特定の場所には、ボーナス得点が得られる「HECTORパネル」や、画面上の地上物を連鎖的に破壊できる配電盤が隠されています。

横スクロール面の特徴

敵は光粒子砲、クラスター爆弾どちらでも破壊できます。補給ポイントは敵キャラクターとして扱われ、接触するとミスになります。クラスター爆弾は自機の斜め下に放出され、地形に沿って前進します。

大会用モード

キャラバン大会と同じ2分モードと5分モードが用意されています。プレイ時間の計測がゲーム側で行われるため、手軽に練習できます。2分モードでは短縮版の1面のみがプレイでき、クリア時の残り時間が得点に変換されます。5分モードでは1面クリア後、3面がスタートします。ミスをするとその時点の得点が記録され、ゲームが終了します。

ストーリー

星歴4622年、時間旅行社の調査船団が太古の地球へ向かいますが、異様に発達したバイオメカの大群に襲われ、殆どが破壊されます。唯一残ったノア号は、孤独な戦いを開始します。

ステージ構成

各ステージは「HISTORY X」と表記されます。

1. HISTORY 1 インカ帝国
2. HISTORY 2 マヤ帝国
3. HISTORY 3 アトランティス大陸
4. HISTORY 4 エジプト
5. HISTORY 5 ムー大陸
6. HISTORY 6 邪馬台国

開発の裏話

「ヘクター」という名前は、当時ハドソンに入社したプログラマー小山俊典氏の愛称に由来します。小山氏が『高橋名人の冒険島』をファミコンに移植した功績から、『スターソルジャー』の次作として『ヘクター'87』が開発されることになりました。

スタッフ

プログラマー: HECTOR OYAMA（小山俊典）、SAILOR FUKU NAGATA（永田淳夫） 他
サウンド・デザイナー: 滝本利昭
ミュージック: KINOKO KUNIMOTO（国本剛章）
ビジュアル・デザイナー: 野中和彦 他
ディレクター: HECTOR OYAMA

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では29点（満40点）を獲得しています。

サウンドトラック

『ファミコン 20TH アニバーサリー オリジナル・サウンド・トラックス VOL.2』に収録されています。

関連作品

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スターパロジャー
コロリンパ

これらの作品には本作のBGMが使用されています。

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