ヘンリー・バサースト (第3代バサースト伯爵)

第3代バサースト伯爵 ヘンリー・バサースト

第3代バサースト伯爵ヘンリー・バサースト（1762年5月22日 - 1834年7月27日）は、イギリスの貴族であり、政治家としても重要な役割を果たしました。彼はガーター勲章を授与され、枢密顧問官にも任命されています。

生涯

ヘンリー・バサーストは、法律家・政治家として活躍した第2代バサースト伯爵ヘンリー・バサーストを父に持ちます。幼少期はイートン・カレッジで学び、その後オックスフォード大学クライスト・チャーチに進学しました。

1783年、彼はグロスタシャー州サイレンスター選挙区から庶民院議員に選出され、政界入りを果たします。議会ではトーリー党に所属し、ウィリアム・ピット（小ピット）と親交を深めました。小ピット内閣では、海軍本部委員、大蔵卿委員、インド庁委員などの要職を歴任しました。1804年に小ピットが再び首相となると、バサーストは王立造幣局長に任命されています。

1807年、第3代ポートランド公爵ウィリアム・キャヴェンディッシュ＝ベンティンクが組織した内閣に商務庁長官兼王立造幣局長として入閣し、続くスペンサー・パーシヴァル内閣でもその職を務めました。1809年には、外務大臣と陸軍・植民地大臣が決闘事件を起こして辞任したため、一時的に外務大臣を兼任しています。

1812年、第2代リヴァプール伯爵ロバート・ジェンキンソンの内閣では陸軍・植民地大臣として入閣し、その能力を発揮しました。特に半島戦争においては、陸軍を担当する閣僚として重要な役割を果たし、次官のヘンリー・ゴールバーンと共に陸軍・植民地省の改革を推進、青書を導入しました。後任の次官ロバート・ウィルモット＝ホートンは、バサーストを高く評価しています。また、彼は人道的な観点から奴隷制度廃止運動を支持しました。

1828年、初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーが内閣を組織すると、バサーストは枢密院議長として入閣します。彼はトーリー党に所属していましたが、カトリック解放には賛成の立場を取りました。しかし、第1回選挙法改正法案には強く反対し、1830年に政界を引退しました。

1793年には枢密顧問官に列せられ、1817年にはガーター勲章を授与されています。1834年にロンドンで亡くなり、グロスタシャー州サイレンスターに埋葬されました。爵位は長男のヘンリーが相続しました。

オーストラリアやカナダなどの地名に残る「バサースト」という名前は、彼を記念して名づけられたものです。

家族

1789年4月、バサーストはレディ・ジョージアナ・レノックスと結婚しました。彼女は第2代リッチモンド公チャールズ・レノックスの孫にあたります。夫妻の間には四男二女が生まれ、長男のヘンリーが第4代バサースト伯爵、次男のウィリアムが第5代バサースト伯爵となりました。

ヘンリー・バサーストは、政治家として、また人道家として、多岐にわたる功績を残した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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