セント・ジョンズ・ウッド駅

セント・ジョンズ・ウッド駅：ロンドンの音楽と歴史を繋ぐ地下の駅

ロンドン地下鉄ジュビリー線にあるセント・ジョンズ・ウッド駅は、静かな住宅街セント・ジョンズ・ウッドに位置する、歴史と音楽が交差する駅です。ベーカー・ストリート駅とスイス・コテージ駅の中間にあり、ロンドン交通局のゾーン2に属します。

この駅の歴史は、1939年にさかのぼります。当時、メトロポリタン線のスタンモア支線がベーカー・ルー線に移管される際に、ベーカー・ストリート駅とフィンチリー・ロード駅間に新たな地下トンネルが建設され、その中にセント・ジョンズ・ウッド駅が設置されました。そのため、駅舎は地下に位置し、地上からはその存在を感じさせないほど、周囲の街並みに溶け込んでいます。

1979年には、ベーカー・ルー線スタンモア支線がジュビリー線の一部となり、セント・ジョンズ・ウッド駅もジュビリー線の駅となりました。この開業によって、近隣にあったメトロポリタン線のローズ駅とマールボロ・ロード駅（どちらも1868年開業）は廃止されました。現在、これらの駅跡は、当時の面影を残すことなく、新たな街並みに変わっています。

駅舎はアカシア・ロードとウェリントン・ロードの交差点付近にあり、建設中には「アカシア・ロード駅」という仮称が用いられていたようです。竣工当時の駅舎の写真を見ると、現在の近代的な駅舎とは異なる趣があり、歴史を感じさせます。

セント・ジョンズ・ウッド駅は、有名なローズ・クリケット・グラウンドへの最寄り駅であるだけでなく、世界的に有名なレコーディングスタジオ、アビー・ロード・スタジオへもアクセスが容易です。ビートルズの聖地として知られるアビー・ロード・スタジオを訪れる観光客にとって、この駅は欠かせない拠点となっています。そのため、駅構内ではビートルズ関連のグッズも販売されており、音楽ファンには嬉しいポイントです。

1938年と1939年の地下鉄路線図には、この駅が「アカシア・ロード」または「アカシア」という仮称で掲載されていたことが確認できます。これらの資料からは、駅の建設や開業に向けた当時の様子を垣間見ることができます。

駅周辺には、アパートが建設されるなど、駅開業以降、街の風景も大きく変化しています。しかし、セント・ジョンズ・ウッド駅は、ロンドンの歴史と音楽の両方を体感できる貴重な場所として、今もなお人々の暮らしを支え続けているのです。地下深くにあるこの駅は、ロンドンの地中深くの歴史と、現代の活気を同時に感じさせる、独特の雰囲気を醸し出しています。駅舎の上にはアパートが建てられ、地上と地下の空間が共存する、ロンドンの典型的な風景を作り出しています。ロンドン交通博物館には、開業当時の駅舎の写真が保管されており、当時の様子を伺い知ることができます。これらの写真を見ることで、セント・ジョンズ・ウッド駅の変遷、そしてロンドンの街の変化を改めて感じることができるでしょう。

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