ベイシャンロン

ベイシャンロン：巨大なオルニトミモサウルス類

中国甘粛省で発見されたベイシャンロン( Beishanlong grandis)は、前期白亜紀に生息していた大型の獣脚類恐竜です。オルニトミモサウルス類に属し、その巨大な体格は同類の中でも際立っています。本種は、21世紀初頭に白魔城サイトで発見された化石に基づき、2009年にオンライン上で、翌2010年には正式に論文発表によって記載・命名されました。属名は、発見地である中国北山と「竜」を意味する中国語を組み合わせたものです。種小名grandisはラテン語で「大きい」を意味し、その巨体を表しています。

発見と命名

ベイシャンロンの化石は、アプチアン期からアルビアン期（約1億2000万年前）の地層から発見されました。2006年には頭骨を欠いたホロタイプ標本が、2007年には後肢や恥骨を含むパラタイプ標本が発見されました。さらに、1999年に発見された足の骨の化石も、ベイシャンロンのものとして暫定的に分類されています。これらの化石は、ベイシャンロンの形態や生活様式を復元する上で貴重な情報源となっています。

特徴的な体格

ベイシャンロンは、オルニモミサウルス類の中でも最大級の種であり、推定全長は8メートルに達したと推測されています。これは、同類のガリミムスの最大個体とほぼ同等です。大腿骨の長さから推定される体重は626キログラムにも及びます。他の研究者による推定値では、全長7メートル、体重550キログラムというデータもあります。

66センチメートルに及ぶ大腿骨や、腓骨に確認された13～14本の成長線は、この個体が成長速度が低下した亜成体であったことを示唆しています。化石からは、頑丈な体格と、長く発達した四肢が見て取れます。ただし、手、足、爪などの部分は保存状態が悪く、詳細な情報を得ることができていません。

分類と系統的位置

ベイシャンロンは、初期のオルニトミモサウルス類として分類されています。特に、ハルピミムスとの近縁性が指摘されています。しかし、2014年の研究では、デイノケイルス科の基盤的な位置にあるとする説も提唱されました。デイノケイルス科には、ベイシャンロンの他に、ガリミムスとデイノケイルスが含まれています。オルニトミモサウルス類の系統関係については、現在も研究が続けられており、今後の研究によって分類が変わる可能性もあります。例えば、ティラノミムスとの関係性についても議論がなされています。

まとめ

ベイシャンロンは、その巨大な体格と、前期白亜紀の生態系における位置づけから、恐竜進化の理解に重要な役割を果たす存在です。今後の研究によって、さらに詳細な情報が明らかになり、オルニトミモサウルス類の進化史の解明に貢献することが期待されます。中国における恐竜研究の進展に伴い、ベイシャンロンに関する新たな知見が得られる可能性も高く、今後の研究に注目が集まっています。現在、入手可能な情報は限られていますが、今後の研究によって、その生態や行動、そして系統的位置づけに関する理解が深まることが期待されます。

もう一度検索