ベガス・ゴールデンナイツ

ベガス・ゴールデンナイツは、アメリカ合衆国ネバダ州パラダイス、すなわちラスベガス都市圏を本拠地とするプロアイスホッケーチームです。北米最高峰のプロリーグであるナショナルホッケーリーグ（NHL）に所属し、エクスパンションチームとして迎えられました。

長年にわたり、ラスベガスとその周辺地域には、北米の主要プロスポーツリーグに加盟するチームが存在しませんでした。1991年にはNHLの屋外試合が開催され、これを契機にNHLチーム誘致の機運が高まったものの、実現には至りませんでした。しかし、2014年8月にMGMリゾーツ社による新しいアリーナ建設が発表されると、実業家のビル・フォーリー氏がNHLチーム誘致を正式に表明。2015年にはケベックシティとの誘致競争となりましたが、最終的に2016年6月、ラスベガスに新たなNHLチームを設立することが発表されました。同年11月にはチーム名が「ベガス・ゴールデンナイツ」と決定し、本拠地は新設されたT-モバイル・アリーナとなりました。

創設初年度となる2017-18シーズンを迎え、チームはフロリダ・パンサーズの前ヘッドコーチ、ジェラルド・ギャラント氏を指揮官に招聘しました。さらに、拡張ドラフトを通じて、ピッツバーグ・ペンギンズから経験豊富なゴーリー、マーク＝アンドレ・フルーリー選手を、ナッシュビル・プレデターズからはジェームス・ニール選手を獲得するなど、有力選手を集めました。

2017年10月6日の開幕戦では、ダラス・スターズを2対1で破り、幸先の良いスタートを切ります。特に注目されたのは、10月10日に開催されたホーム開幕戦でした。その数日前にラスベガスで発生した痛ましい銃乱射事件を受け、試合前には犠牲者58名への追悼セレモニーと58秒間の黙祷が捧げられました。哀悼の意を込めた試合で、チームはアリゾナ・コヨーテズに5対2で快勝。NHLのエクスパンションチームとしては史上初めて、開幕3連勝という記録を樹立しました。

チームはその後も快進撃を続け、2018年3月31日のホーム最終戦では、銃乱射事件の犠牲者数にちなみ、背番号58番をチーム初の永久欠番に認定。パシフィックディビジョンで優勝し、プレーオフでも勢いを維持しました。カンファレンスファイナルではウィニペグ・ジェッツを4勝1敗で下し、創設1年目にしてキャンベル・ボウルを獲得、スタンレーカップファイナル進出という歴史的な快挙を成し遂げました。惜しくもファイナルではワシントン・キャピタルズに1勝4敗で敗れ、初年度での頂点獲得はなりませんでしたが、その鮮烈なデビューは世界に衝撃を与えました。

その後、2021-22シーズンには創設以来続いていたプレーオフ連続出場記録が途切れることもありましたが、チームはすぐに立て直しを図ります。2022-23シーズンには、チームにとって3度目となる地区優勝を成し遂げました。続くプレーオフでは、5年ぶりとなるスタンレーカップファイナル進出を果たします。初めての栄冠を目指すフロリダ・パンサーズとの対決を4勝1敗で制し、見事スタンレーカップを手にしました。これは、1967年以降に誕生したエクスパンションチームとしては最速となる、創設からわずか6シーズン目での快挙であり、ベガス・ゴールデンナイツはNHLの新たな歴史を刻みました。

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