ベネラ4号

ベネラ4号：金星の謎に挑んだソ連の探査機

1967年6月12日、ソビエト連邦は金星探査機ベネラ4号を打ち上げました。これは、ベネラ計画における重要なステップであり、人類が初めて別の惑星の環境を現地で分析することに成功した画期的な探査となりました。

過酷な環境への挑戦

ベネラ4号は、前身であるベネラ3号と同様に、金星の大気圏に探査機を軟着陸させることを目的として設計されました。しかし、金星の環境は想像以上に過酷でした。そのため、ベネラ4号の降下カプセルは、ベネラ3号に比べて大幅に強化され、20気圧という高圧力に耐えられる構造となりました。直径103cm、重量383kgの降下カプセルには、温度計、気圧計、電波高度計、大気の密度計、そして11種類のガス分析機など、様々な観測機器が搭載されていました。さらに、デシメートル周波数帯を使用する無線送信機により、得られたデータを地球に送信する仕組みも備えていました。

軌道モジュールには、磁気探知機、宇宙線探知器、水素原子と酸素原子のためのライマンα線分光計、そして荷電粒子（太陽風）収集機が搭載され、金星周辺の宇宙環境の観測も行われました。

金星への旅と着陸

ベネラ4号は、モルニヤロケットによって地球周回軌道に投入され、その後、ロケット上段の噴射によって金星へ向かう軌道に乗せられました。1967年10月18日、金星軌道に到着したベネラ4号は、降下カプセルを金星の大気圏に送り込みました。

降下カプセルはパラシュートで減速しながら降下し、観測データは軌道上を周回するメインバスを経由して地球に送信されました。データによると、降下カプセルは高度約24.96kmまで動作を続け、北緯19°、東経38°付近に着陸したと推定されています。

驚くべき発見

ベネラ4号が送ってきたデータは、それまでの予想をはるかに超えるものでした。金星の大気は、二酸化炭素を主成分とし、窒素を数パーセント含む、非常に高密度で高温の環境であることが明らかになったのです。この発見は、金星に関する理解を大きく変えるものでした。

米国との連携

ベネラ4号の着陸の翌日には、アメリカのマリナー5号が金星フライバイを行い、ベネラ4号の観測を補完するデータを取得しました。このことは、米ソの宇宙開発競争においても、科学的知見の共有という側面があったことを示しています。

ベネラ4号の遺産

ベネラ4号は、金星探査における重要なマイルストーンとなりました。初めて別の惑星の環境を現地で分析することに成功し、金星の大気に関する貴重なデータを提供しました。この探査機は、後の金星探査計画にも大きな影響を与え、現在に至るまで、金星の研究に貢献し続けています。ベネラ4号の功績は、惑星科学の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

もう一度検索