ベルメッツ

ベルメッツ：輝ける一瞬と、その後の軌跡

ベルメッツは、アメリカ合衆国で生まれたサラブレッド競走馬です。イギリス、アイルランド、そして日本と、世界を舞台にその競走生活を送りました。特に、1990年のキングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス制覇は、彼の競走馬としてのキャリアにおける最高の輝きと言えるでしょう。時に「ベルメス」と表記されることもあるこの馬は、その華麗なる戦歴と、種牡馬としてのキャリア、そして血統背景から、サラブレッドの歴史に名を残す一頭と言えるでしょう。

華麗なる戦歴

ベルメッツの競走馬としてのキャリアは、1989年11月3日、イギリスのニューマーケット競馬場で行われたカールスバーグステークスでのデビュー戦から始まりました。16頭中10番人気という下馬評を覆し、見事勝利を収めます。翌1990年、3歳シーズンを迎えると、4月21日のバーグクレールステークスも制覇。このレースから、名手スティーブ・コーゼン騎手が手綱を取ることになります。

続くチェスターヴァーズでは、後のエプソムダービー優勝馬となるクエストフォーフェイムを破り、3連勝を達成。エプソムダービーへの出走も期待されましたが、軽い故障により断念。アイリッシュダービーに挑みますが、惜しくも敗れ、サルサビルの3着に終わりました。しかし、この経験が、彼の後の活躍を支える礎となったことは間違いありません。

そして迎えたのが、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス。コーゼン騎手が僚馬に騎乗したため、マイケル・キネーン騎手が手綱を取りました。このレースでは、同じセシル調教師が管理する僚馬であるオールドヴィックとの接戦を制し、優勝を掴み取ります。3着には柴田政人騎手が騎乗したアサティス、4着はカコイーシーズ、5着はインザウィングスと、錚々たるメンバーが名を連ねたレースでした。

この勝利後も、ベルメッツの活躍は続きます。グレートヴォルティジュールステークスでは、コーゼン騎手が再び騎乗。後のセントレジャーステークス優勝馬であるスナージを頭差で退け、優勝を飾りました。しかし、凱旋門賞ではソーマレズに敗れ5着に終わります。

そして、彼の競走生活最後の舞台となったのが、日本のジャパンカップです。キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークスの優勝馬としての出走ということもあり、一番人気に支持されました。しかし、ベタールースンアップに敗れ7着という結果に終わり、このレースを最後に現役を引退しました。レーシング・ポストのレイティングでは、132ポンドという高い評価を得ていました。

種牡馬としての歩みと、血統背景

引退後はフランスのノルマンディー地方で種牡馬として繋養されました。しかし、産駒はG2を2勝したカランバや、フランスのG3ロワイヨモン賞を制したスパニッシュフォールズなど、目立った活躍馬は限られました。1999年に死亡しています。

ベルメッツの血統背景も興味深いものです。彼の5代母にあたるパールキャップは、1931年の凱旋門賞、プール・デッセ・デ・プーリッシュ、ディアヌ賞、ヴェルメイユ賞を制覇した名牝です。また、彼の甥にあたるDebussyは2010年のアーリントンミリオンステークスを制し、いとこには1985年のディアヌ賞優勝馬リファリタがいます。

ベルメッツは、その輝かしい競走成績だけでなく、その血統からも、サラブレッドの歴史において重要な存在であったと言えるでしょう。彼の短いながらも華麗な競走生活、そして種牡馬としてのキャリアは、後世に語り継がれるべきものと言えるのではないでしょうか。

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