ベルリナイト

ベルリナイト：希少なリン酸アルミニウム鉱物

ベルリナイトは、[リン酸アルミニウム]を化学組成とする希少な鉱物です。シュツルンツ分類では「リン酸塩鉱石、ヒ酸塩鉱石、バナジン酸塩鉱物」に分類され、その美しい結晶構造と蛍光性から、鉱物愛好家や研究者の注目を集めています。

ベルリナイトの特徴

ベルリナイトは、主に繊維状、球晶状、粒状の集合体として産出します。純粋なものは無色透明ですが、格子欠陥や多結晶形成によって白く見える場合もあります。また、外来原子を含むことで、ピンクグレーから淡いピンク色を呈することもあります。多くのベルリナイトは、紫外線照射下で暗赤色の蛍光を示すという特徴的な性質を持っています。まるで蛍光ペンが光っているかのような、鮮やかな輝きを放ちます。

ベルリナイトの名前の由来と発見の歴史

ベルリナイトは、1868年にスウェーデンのVästanå鉱山で発見され、スウェーデンの化学者・鉱物学者であったニルス・ヨハン・ベルリン(1812-1891)にちなんで命名されました。日本では、山口県の日の丸奈古鉱山で仮晶として、そして2010年には福岡県平尾台の千仏鍾乳洞でも発見されています。発見例は世界的に見ても少なく、その希少性から、新たな発見が常に期待されています。

ベルリナイトの分類

ベルリナイトの分類は、複数の鉱物分類体系で検討されています。旧来のシュツルンツ分類第8版では「外来アニオンのない無水リン酸[PO₄]³⁻塩鉱物」に分類され、Alarsite、ベリロナイトなどと共に無名の群を成していました。国際鉱物学連合が採用しているシュツルンツ分類第9版では、「無水、無外来アニオンリン酸塩鉱物」に分類され、さらにカチオンの大きさによって細分類されています。また、英語圏で広く用いられるダナ分類では、「リン酸塩鉱物、砒酸塩鉱物、バナジン酸塩」に分類され、「ベルリナイト群」としてAlarsite、Rodolicoiteと共に分類されています。このように、様々な分類体系において、ベルリナイトはその独特の性質から独自の地位を築いています。

ベルリナイトの生成と産出地

ベルリナイトは、高温の水熱合成や交代作用によって生成されると考えられています。アウゲライトやアタッコライトと共生することが多く、鉄天藍石やトロール石などに付着して産出されるケースもみられます。2013年までの発見例はおよそ20箇所と非常に少なく、世界的に見ても希少な鉱物です。タイプ産地であるスウェーデンのVästanå鉱山のほか、スウェーデン、ドイツ、スイス、オーストラリア、ブラジル、マダガスカル、ルワンダ、ルーマニア、スペイン、チェコ、アメリカ合衆国など、世界各地で散発的に発見されています。それぞれの産出地において、地質学的条件や共存鉱物に違いがあると考えられ、今後の研究によってベルリナイトの生成メカニズムに関する理解が深まることが期待されます。

ベルリナイトの結晶構造

ベルリナイトは三方晶系に属し、石英と同様に鏡映異性体（左手型と右手型）が存在します。左手型は空間群P3₁2₁、右手型は空間群P3₂2₁に属し、どちらも[100]軸に平行な二回対称軸を持つという共通点があります。左手型と右手型の格子定数はわずかに異なり、既約単位格子あたり3組成式を含みます。ベルリナイトの結晶構造は石英と類似していますが、格子定数の違いによって、物理的・化学的性質に差異が生じていると考えられています。

まとめ

ベルリナイトは、その希少性、美しい蛍光、そして独特の結晶構造から、鉱物学上非常に興味深い鉱物です。今後の研究によって、その生成メカニズムや結晶構造の詳細がさらに解明され、鉱物学への理解が深まることが期待されます。

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