ベルリン・ブランデンブルク国際空港

ベルリン・ブランデンブルク国際空港



ベルリン・ブランデンブルク国際空港(Flughafen Berlin Brandenburg)は、ドイツの首都ベルリン近郊に位置する国際空港です。2020年10月31日に開港し、ベルリンの空の玄関口として機能しています。この空港は、かつてベルリンに存在した3つの空港(テンペルホーフ空港、テーゲル空港、シェーネフェルト空港)を統合する形で誕生しました。

空港統合の背景



ベルリンにはかつて、テンペルホーフ、テーゲル、シェーネフェルトという3つの空港が存在し、航空路線が分散して需要が低迷していました。この問題を解決するために、3空港の統合が計画されました。しかし、旧西ベルリンに位置するテンペルホーフ空港や、都市部に近いテーゲル空港は拡張が困難であったため、旧東ベルリン地区の中心空港であったシェーネフェルト空港の隣接地に、新たなハブ空港としてベルリン・ブランデンブルク国際空港が建設されることになりました。シェーネフェルト空港は閉鎖され、その機能はブランデンブルク国際空港に引き継がれ、シェーネフェルト空港の旅客ターミナルは、ブランデンブルク国際空港のターミナル5として再利用されています。

テンペルホーフ空港は2008年に閉鎖され、テーゲル空港は2020年11月8日に閉鎖されました。これにより、ブランデンブルク国際空港ベルリン唯一の旅客空港となりました。

歴史



ブランデンブルク国際空港の建設は、シェーネフェルト空港の既存滑走路の拡張から始まりました。従来の南側滑走路は3,000メートルから3,600メートルに延長され、新たな北側滑走路となりました。その後、旅客ターミナルと4,000メートルの新しい南側滑走路が建設されました。工事は2006年に開始され、当初は2011年10月30日に開港予定でしたが、ずさんな工事管理や計画の度重なる変更により、開港は大幅に遅れることとなりました。

特に、2011年の査察では、シーメンスとボッシュが手がけた防火システムが全く機能しないことが判明し、建物そのものの使用が危険と判断されました。この問題をはじめ、数々の技術的な問題が露呈し、開港は度重なる延期を余儀なくされました。2017年12月には、空港の供用開始が2020年10月と発表され、ようやく開港に至りました。

この度重なる開港延期は、ドイツのメディアから「恐怖の建築現場」と批判され、イギリスのタブロイド紙「デイリー・メール」では、「世界の7大無駄観光資源プロジェクト」の一つとして取り上げられるなど、国際的な批判も浴びました。開港が遅れた結果、総工費は当初計画の20億ユーロから3倍の60億ユーロにまで膨れ上がりました。空港会社にはベルリン州、ブランデンブルク州、連邦政府が出資しており、政治的な介入が工事の混乱を招いたとされています。

副名称問題



空港の副名称を巡っては、ドイツ社会民主党が、かつて西ベルリン市長、西ドイツ首相を務め、ノーベル平和賞を受賞したヴィリー・ブラントの名を冠することを提案しました。これに対し、ドイツキリスト教民主同盟は、アルベルト・アインシュタインマレーネ・ディートリヒの名を挙げ対抗し、論争が繰り広げられました。最終的に、2009年末に新空港の副名称は“ヴィリー・ブラント”に決定しました。

ターミナル



ターミナル1



ブランデンブルク国際空港のメインターミナルで、開港に合わせて建設されました。施設自体はほぼ2011年に完成していましたが、度重なるトラブルにより開港が遅れました。

ターミナル2



LCC(格安航空会社)専用のターミナルとして、2020年9月に完成しました。

ターミナル3



現在計画中で、2030年頃に竣工予定です。

ターミナル4



現在計画中です。

ターミナル5



旧シェーネフェルト国際空港のターミナルを利用したもので、主にLCC用ターミナルとして利用されています。当初はターミナル3の完成後に廃止される予定でしたが、2022年11月に永久的に使用しないことが決定し、現在はウクライナ避難民のシェルターとして利用されています。

交通



鉄道



ベルリン・ブランデンブルク空港駅は、ターミナル1と2に隣接した地下に新設され、ベルリンSバーン、インターシティ、レギオナルエクスプレスレギオナルバーンが運行しています。ベルリン中央駅まで約20~30分でアクセス可能です。

地下鉄



最寄りの地下鉄駅は7号線ルードウ駅で、ルードウ駅からは急行バス(X7, X71)が運行しており、空港まで約15分でアクセスできます。

まとめ



ベルリン・ブランデンブルク国際空港は、度重なる遅延と巨額の費用をかけて開港に至りました。しかし、開港後はベルリンの空の玄関口として重要な役割を果たしており、今後のさらなる発展が期待されています。

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