ベレッタ M12 (SMG)

ベレッタ M12：イタリア生まれの短機関銃

ベレッタM12は、1959年にイタリアのベレッタ社が開発した短機関銃です。9x19mmパラベラム弾を使用し、その設計思想と特徴から、多くの国で採用されました。

設計と特徴

M12は、大量生産を容易にするため、プレス加工と電気溶接を多用した設計となっています。L型ボルトを使用することで、機関部の長さを短縮し、コンパクトな外観を実現しました。作動方式は、シンプルで信頼性の高いオープンボルト式ブローバックを採用。セミオートとフルオートの切り替えが可能です。

弾倉は、20連、30連、40連の3種類が存在し、用途に応じて選択できます。安全面では、トリガーを固定するマニュアルセーフティー、グリップセーフティー、そしてコッキングハンドルに装着されたボルト前進防止式セーフティーの三重構造を採用し、安全性を高めています。

各国での採用

1961年にイタリア政府が制式採用して以来、M12はイタリア軍や国家憲兵「カラビニエリ」などで広く使用されました。また、南米、アフリカ、中東など、多くの国々でも制式採用され、ブラジルとインドネシアではライセンス生産も行われました。

ベトナム戦争中のテト攻勢では、アメリカ大使館を巡る戦闘で、CIA職員と思われる人物がM12を使用している写真が残されています。2015年のチュニジア博物館襲撃事件では、チュニジアの警察官がM12を構えながら市民を保護する姿が確認されています。

派生型

M12には、いくつかの派生型が存在します。

M12S: 1978年に再設計された改良型です。マニュアルセーフティーとセミ・フル切り替えセレクターが、レバー形状の兼用式に変更されました。32発装填可能な弾倉を使用します。
PM12S: 工具なしで分解・組み立てが可能な設計で、サプレッサーの装着も可能です。84個の部品で構成されています。
* トーラス・MT12AD: ブラジルのトーラス社がライセンス生産したモデルです。グリップセーフティーのレバーが大型化され、エジェクションポートにカバーが追加されています。ブラジル軍ではM972として制式採用されています。

ベレッタM12は、その堅牢性と扱いやすさから、様々な場所で活躍した短機関銃です。

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