ペウケスタス

ペウケスタスの略歴

ペウケスタス（希：Πευκεστας、ラテン文字転記：Peucestas）は、紀元前4世紀のマケドニアの将軍であり、アレクサンドロス3世大王に仕えた。彼は大王の子供であり、ミエザで生まれた。彼の初登場は紀元前326年で、ヒュダスペス川の河川工事に関与していた。

アレクサンドロスの下での活躍

ペウケスタスが名を馳せるきっかけとなったのは、紀元前325年のマラヴァスへの攻撃であった。王の側近として彼は、危険にさらされたアレクサンドロスを助けるために真っ先に飛び込み、その勇気と行動により負傷した。彼はトロイのアテナ神殿から持ち帰った神聖な盾で王を護った。その結果、彼は東征で最初の功績を認められ、スサで金の冠を授与されることとなった。さらに、ペルセポリスに到着すると、ペルシスの太守に任命された。この任命の際、彼は王の側近護衛官に昇進し、特例としてその地位の定員が増やされることになった。

ペウケスタスは太守として、ペルシアの慣習や服装を取り入れ、ペルシア人からの支持を得ると同時に、マケドニア人からの反感も買った。紀元前323年には、20000人のペルシア兵を指揮して、病床にあったアレクサンドロスのもとを訪れ、王が危篤である時にはサラピス神殿で祈願をした。

アレクサンドロス死後の動き

アレクサンドロスの死後、ペウケスタスは多くの事件で主導的な役割は果たさなかったものの、紀元前323年にバビロン会議でペルシス太守として留任し、後のトリパラディソスの軍会でもその地位を維持した。紀元前317年にはメディア太守ペイトンの反乱に対して10000のペルシア兵を率いて戦った。彼はペイトンを敗北させることに成功した。

さらに、ペウケスタスはエウメネスとの戦いにおいて彼を支持した。エウメネスの巧妙な策略により、彼の権力は徐々に削られていったが、ペウケスタスもまた自らの支持を集めようと奮闘した。しかし、エウメネスはアレクサンドロスの遺品を飾ったテントでの会議形式を取るなどし、ペウケスタスの影響力を排除していった。

この過程で、ペウケスタスは権力欲が強いが臆病で無能な将軍として描かれることが多かった。紀元前317年のパラエタケネの戦い에서는騎兵部隊を率いるも結果は引き分けに終わり、紀元前316年にはガビエネの戦いでのアンティゴノスの奇襲に対して狼狽し、勝手に後退を提案するなど、部隊を混乱に陥れた。結果的に、エウメネスは味方の裏切りに遭い、敗北を喫することとなった。エウメネスの破滅はペウケスタスの行動とも関連しており、彼は故郷からの支持を喪失することとなった。

まとめ

ペウケスタスはアレクサンドロスの忠実な部下として数々の戦闘に参加した将軍であるが、エウメネスとの権力闘争を経て、彼の評価は複雑なものとなった。戦闘での成績や影響力の変遷は彼の将軍としての才能だけでなく、時代背景によるものでもあった。歴史において彼の名は多く語られているが、その功績は常に再評価の対象となっていることであろう。

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