ペドロ・ムニョス

ブラジル、サンパウロ州サンパウロで1986年 9月7日に生まれたペドロ・ムニョスは、現在アメリカ合衆国カリフォルニア州トーランスを拠点に活動する男性総合格闘家です。名門ジムであるアメリカン・トップ・チームに所属し、そのキャリアを築いています。

幼少期から武道に親しみ、4歳で空手を、小学生になると柔道を始めました。13歳からはブラジリアン柔術の世界に深く入り込み、マルコ・バルボーザの指導を受けました。これらの豊富な打撃・組み技のバックボーンを基盤に、2009年にプロ総合格闘家としてのキャリアをスタートさせました。

RFAバンタム級王者

RFA（Resurrection Fighting Alliance）を主戦場としていたムニョスは、バンタム級のトップ戦線で活躍しました。2013年8月16日に行われたRFAバンタム級王座決定戦でジェフ・カランと対戦。接戦の末、5ラウンド判定2-1で勝利を収め、見事初代王座を獲得しました。さらに、2014年1月24日には、当時キャリア無敗だったビリー・ダニエルズを相手に初防衛戦に臨みました。試合開始からわずか41秒という短時間で、十八番となるギロチンチョークで一本勝ちを収め、王者の実力を見せつけました。

UFCでの軌跡

RFA王者として実績を積んだムニョスは、2014年2月22日、UFC 170で待望のオクタゴンデビューを果たします。初戦の相手はバンタム級ランキング3位の強豪、ハファエル・アスンソンでした。この試合は判定までもつれ込みましたが、0-3で敗北。自身キャリア初黒星を喫する結果となりました。

しかし、この敗戦から立ち直り、UFCの舞台で存在感を示していきます。特に彼の武器であるギロチンチョークは多くの試合でフィニッシュ手段となりました。2016年7月7日のラッセル・ドーン戦、同年11月19日のジャスティン・スコギンズ戦、そして2017年10月28日のロブ・フォント戦と、いずれもギロチンチョークによる1ラウンドあるいは2ラウンドでの一本勝ちを収め、これらの勝利で計3回の「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」ボーナスを獲得しました。

バンタム級ランキング上位への挑戦も始まりました。2018年3月3日にはランキング8位のジョン・ドッドソンと対戦しましたが、惜しくも1-2の判定で敗れました。同年8月4日のUFC 227ではランキング14位のブレット・ジョーンズを相手に判定3-0で勝利。さらに11月30日のThe Ultimate Fighter 28 Finaleでは、ランキング14位のブライアン・キャラウェイにボディへの前蹴りでダウンを奪い、追撃のパウンドで1ラウンドTKO勝利を飾りました。

キャリア最大のハイライトの一つと言えるのが、2019年3月2日、UFC 235でランキング2位の元UFC世界バンタム級王者コーディ・ガーブラントと対戦した一戦です。激しい打撃の応酬となったこの試合で、ムニョスはガーブラントからダウンを奪い、パウンドによる1ラウンドKO勝利をもぎ取りました。この壮絶な試合は「ファイト・オブ・ザ・ナイト」に選出されました。

その後も、トップ戦線での厳しい戦いが続きます。2019年6月8日のUFC 238では、後の王者となるランキング3位のアルジャメイン・スターリングに判定負け。2020年8月22日には、元UFC世界ライト級王者フランク・エドガーと対戦し、接戦の末1-2の判定で敗れ2連敗となりましたが、この試合も「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞。海外メディアの採点では多くの記者がムニョスの勝利を支持するなど、内容的には評価の高い試合でした。

2021年2月27日には、過去に勝利しているランキング9位のジミー・リベラと再戦し、3-0の判定で勝利しリベンジを果たしました。この試合も「ファイト・オブ・ザ・ナイト」に選ばれています。同年8月7日には元UFC世界フェザー級王者ジョゼ・アルド、12月11日には元UFC世界バンタム級王者ドミニク・クルーズといったレジェンドクラスの強豪と対戦しましたが、いずれも判定で敗れました。クルーズ戦では1ラウンドにダウンを奪う場面もありましたが、及ばず「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞しています。

2022年7月2日のショーン・オマリー戦では、相手の偶発的なサミングにより試合続行不能となりノーコンテストという不本意な結果に終わりました。しかし、2023年4月15日にはランキング13位のクリス・グティエレスに判定勝ちを収め再起。同年8月19日のマルロン・ヴェラ戦では判定負けとなりましたが、エドガー戦と同様に海外メディアの多くがムニョス優勢と採点するなど、際どい試合が続いています。直近では2024年3月9日、UFC 299でカイラー・フィリップスに判定負けを喫しています。

ペドロ・ムニョスは、そのキャリアを通じてバンタム級の強豪たちと拳を交え続け、特にギロチンチョークによるフィニッシュや、激しい打撃交換を厭わないファイトスタイルでファンを魅了しています。惜敗も多い一方で、数々の「ファイト・オブ・ザ・ナイト」受賞が示す通り、常にエキサイティングな試合を提供しているファイターです。

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