ペルセポリスから飛鳥へ

ペルセポリスから飛鳥へ

松本清張の著作『ペルセポリスから飛鳥へ』は、1979年に日本放送出版協会から発表された作品であり、古代ペルシャと日本の飛鳥時代を結びつける文化的関連を探る内容になっています。この作品は、1975年に刊行された小説『火の路』の続編的な性格を持ち、著者が1978年に実施した取材をもとに構成されています。

作品の概要

本書は、大きく分けて二つの部分から成り立っています。前半部分は紀行文の形式を採用しており、著者が訪れたイランの遺跡や文化を紹介しながら進められています。旅は古都レイやエルブルズ山脈を経て、テヘラン周辺の遺跡に至ります。ここでは、東京大学のイラク・イラン調査隊による発掘調査の結果も踏まえつつ、古代ペルシアの文化と歴史への推論が展開されます。

旅の章

旅の章は、三つの主要な行程で構成されています。

1. 旅の章 Iでは、著者はレイを出発点にしハリメジャンへの道を辿り、古のエルブルズ山脈を越えていきます。この過程で、様々な遺跡の見学を通じて、古代ペルシアの文明を深く理解しようと考察が行われます。
2. 旅の章 IIでは、シラーズへの旅が中心となり、ナクシュ・イ・ルスタムやイスファハン、イェズドといった地域に焦点を当てます。これらはペルシアの偉大な王たちの詩的な墓や、ゾロアスター教の聖地など、歴史的意義を持つ遺跡群を含んでおり、著者はこれらを巡りながら更なる考察を加えていきます。

考察の章

著者の旅の経験をまとめた後半の考察の章では、より具体的な推論が展開されます。ここでは、飛鳥の石造物や神社、歴史的建造物の配置を挙げ、ペルセポリスの宮殿や古代インドの文化まで考察を広げていきます。特に、猿石や亀石などの特異な石造物を通じて、文化的な相互影響について深い洞察が得られます。

参考文献

本書は単独の出版物ではなく、松本清張の他の著作との関係性を持っており、『火の路』や『清張通史』『眩人』などがその一部を形成しています。また、『松本清張全集 第55巻』に収められた歴史学者・門脇禎二の解説が、本書の推論部分に関しての評価を行っており、読者にとって重要な参考資料となっています。

結論

『ペルセポリスから飛鳥へ』は、松本清張が歴史と文化に対する深い興味を持ち、古代の遺跡や文物を通じてその相互関係を探求する姿が伺えます。この作品を通じて、読者は古代ペルシャと日本の文化的なつながりを考える機会を得ることでしょう。

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