ペール・カルム

ペール・カルム（Pehr Kalm）

ペール・カルムは、1716年3月6日にスウェーデンのオンゲルマンランドで生まれました。彼の両親はフィンランドからスウェーデンに逃れてきた難民で、父親は大北方戦争中に生まれたペールの6ヶ月後に亡くなりました。その後、母親はペールを連れてフィンランドのポフヤンマー県ナルペスに戻りました。

学問の旅立ちとリンネとの関係

カルムは1735年からオーヴォ・アカデミーで学び、1740年にウプサラ大学に入学します。そこで彼はカール・フォン・リンネの指導を受け、続いて彼の弟子として活躍しました。ウプサラ大学では、彼を支援した男爵カール・ビエルクの実験農園で実務を行い、農学に興味を抱くようになりました。

1742年から1746年にはスウェーデン、ロシア、ウクライナでの野外研究に従事し、1747年には農学の教授に任命されました。また、同年にはスウェーデン王立科学アカデミーの会員に選出され、リンネおよびアカデミーからの依頼により北アメリカへ渡ることになります。この任務の目的は、フィンランドにおける桑の導入を含む、有用な植物の種子や苗を持ち帰ることでした。

北アメリカへの旅

1752年、カルムはイギリスを訪れ、そこで植物学者たちとの交流を深めつつ、1748年にフィラデルフィアに到着しました。彼はベンジャミン・フランクリンや博物学者ジョン・バートラムからの支援を受け、スウェーデン人の入植地があるニュー・ジャージーのラクーンを拠点に活動を行いました。ここではトリニティ・チャーチの牧師としても勤務し、後に前任の牧師の未亡人と結婚しました。彼は1749年までラクーンで過ごし、その後、ナイアガラの滝やモントリオール、ケベックなどを調査しました。

書籍と植物学への貢献

1751年に北アメリカから帰国した後、カルムはトゥルク大学の教授として教鞭をとり、新たに設立されたトゥルクの植物園の設立にも尽力しました。彼の北アメリカでの旅の記録は『En Resa til Norra America』として1753年から1761年にかけて発表され、多言語に翻訳されて広まりました。この記録には動植物の詳細や、原住民と植民地生活についての記述が含まれており、当時の知られざる情報を多く提供しました。

特に注目すべきは、周期ゼミ（Magicicada septendecim）に関する彼の研究です。この生物に関する最初の論文を執筆し、リンネは『植物の種』の中で彼を90種の植物の文献に引用しています。中でも、彼が発見した60種は新しい種として記載され、彼の名を冠したツツジ科のカルミア属がその証とされています。

業績の継承と記念

カルムの業績は今でも多くの分野に影響を与えています。2011年には[フィンランド]]造幣局から彼を記念した10ユーロの銀貨が発行され、[[小惑星] Kalmも彼が名付け親とされています。彼の多岐にわたる業績は、植物学の発展に寄与し、後世に大きな影響を与え続けているのです。

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