ホア族

ホア族：ベトナムにおける華人

ホア族（華族、ベトナム語：Người Hoa）は、ベトナム国内における華人の呼称です。ベトナム政府は、中国語を話す民族のうち、サンジウ族とガイ族を除いた人々をホア族として分類しています。中国語圏では、彼らは越南華人または越籍華人と呼ばれています。ホア族の大部分は、南部ホーチミン市の中華街であるチョロン地区に居住しています。

定着の歴史

17世紀末、明朝の遺臣ら3000人を乗せた船が広南国（現在のベトナム中部）のダナンに到着し、ベトナムへの亡命を求めました。広南王は、彼らを南部ドンナイ河流域への定住を許可しました。この出来事から、南部ベトナムでは華人は「タウ（Tàu）」、つまり「船」を意味するベトナム語で呼ばれることもあります。19世紀末には、華人の子孫はコーチシナ（現在のベトナム南部）で約4万人に達しました。

20世紀に入ると、船舶などの交通手段の発達により、交易が活発になり、東南アジアへの華人の出入国が盛んになりました。ベトナムには数十万人の華人が流入し、移住人口はさらに増加しました。1936年の調査では、コーチシナに17万人、アンナン（現在のベトナム中部）に1万人、トンキン（現在のベトナム北部）に3.5万人の華僑が在住しており、「ミンフォン（明郷）」と呼ばれる混血児も7.4万人に達しました。さらに、清朝末期から第二次世界大戦前夜にかけて、混乱を逃れるために大量の華人がベトナムに流入しました。

南北統一後の人口流出

ベトナムに居住する華人の多くは都市部で商業を営み、特にサイゴン（現在のホーチミン市）とその中華街チョロンに集中していました。1975年以前には、南部に居住する華人120万人のうち、110万人がサイゴンに、さらにそのうち70万人がチョロンに在住していました。しかし、中越戦争期には、多くの華人が難民として国外に脱出したため、チョロンの華人人口は1975年の70万人から1978年には10万人にまで激減しました。

当時、香港やマカオの難民収容所の7割は中国系ベトナム人でした。1978年、オーストラリアのマッケラー移民相は、ベトナム当局が国内の華僑人口を減らすために難民の大量流出を助長していると非難しました。オーストラリアは1975年から1985年の10年間に9万人以上のベトナム難民を受け入れましたが、1986年のオーストラリア在住の華僑・華人人口20万人のうち、ベトナム出身の華僑・華人は最多の39％にあたる約8万人でした。

ベトナム全体では、1975年以前に南北で145万人の華人が在住していましたが、そのうち111万1000人が海外に移住し、26万人が中国に帰国しました。その結果、在ベトナムの華人人口は1975年の145万人から1987年には28.5万人にまで減少しました。しかし、ドイモイ政策以降はベトナムに帰還する華人が増え、華人人口は回復傾向にあります。

中越戦争以降、ベトナムから第三国に移住した華人の増加に伴い、フランス、オーストラリア、カナダ、アメリカなどで、世界有数の規模のチャイナタウンが新たに形成されました。ニューヨークやロサンゼルスの他、シカゴの北華埠、パリ13区、シドニー郊外のカブラマッタなどの大規模なチャイナタウンは、1975年以降、海外に移住したインドシナ系中国人によって形成されました。

関連項目

ボートピープル
コーカン／コーカン族

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