ホオジロガモ

ホオジロガモについて

ホオジロガモ（頬白鴨、学名：Bucephala clangula）は、カモ目カモ科に属する鳥の一種です。この名は、特徴的な白い頬の模様に由来しています。学名の属名「Bucephala」は、大王アレクサンドロス3世の馬の名前にちなんでおり、種小名の「clangula」は「やかましく騒ぐ」という意味を持っています。

分布

ホオジロガモは、北ヨーロッパからシベリア、カムチャツカにかけてのツンドラ地域の南側に生息します。この鳥は、ウスリー地区で繁殖し、地中海、ペルシア湾、日本、中国南部、朝鮮半島などで越冬します。また、アラスカとカナダから南部アメリカや中部アメリカにも渡り、地域によって旧北区亜種と新北区亜種に分かれています。日本では、亜種ホオジロガモが冬鳥としてやってきますが、主に北日本に見られ、本州中部以南では観察される数は少ないです。

形態

ホオジロガモのオスの全長は約46cmで、他のカモと比べて大きな頭部が特徴的です。オスは頭が緑色で光沢のある黒色をしており、顔の前面には丸い白斑があります。背中は黒く、胸、腹、尾羽は白いです。一方、雌は頭と背中が褐色で、体の下部は灰褐色をしています。雌には特徴的な白斑はありません。

生態

ホオジロガモは、4月から6月にかけて繁殖します。繁殖期には、森林の川や湖沼に生息し、越冬時には内湾や港など波の静かな海域に群れを作って生活します。また、少し内陸の湖沼にも入り込むことがあるのです。この鳥は、潜水して甲殻類やイカ、貝類などの軟体動物を捕食し、魚や水草も食べます。

繁殖は卵生で、巣は樹洞や地面に掘った穴などに作り、内部には枯れ草や羽毛を敷いて営巣します。同じ場所に繰り返し巣を作る習性があります。1回の産卵数は7から11個で、抱卵や雛の育成は雌が担当します。抱卵期間は27から30日であり、雛は約60日後に親から独立します。

繁殖期において、雄は「ギー ギッギー」という濁った声や「クィ リーク」と鳴き声を発します。また、求愛ディスプレイとして、頭の羽毛をふくらませたり、頭を曲げて伸ばす動作を行います。近縁種であるキタホオジロガモは、求愛ディスプレイの動作や鳴き声が明らかに異なり、そのため自然界における雑種はほとんど見られません。

亜種

ホオジロガモは、以下の2つの亜種に分類されます。

• - Bucephala clangula clangula（ホオジロガモ）
• - Bucephala clangula americana（アメリカホオジロガモ）

ホオジロガモはその美しい姿と独特の生態が魅力であり、特に冬季に見ることができる貴重な鳥です。彼らの多様な生活環境や繁殖習性について理解を深めるのは、私たちの自然観察や保護活動において大いに意義があります。

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