ホキ美術館

千葉県千葉市緑区あすみが丘東に位置するホキ美術館は、現代日本の写実絵画を専門に収集・展示する美術館です。医療機器メーカー、ホギメディカルの創業者である保木将夫氏（2021年逝去）が長年情熱を傾けて収集した作品群を公開するために、2010年11月に開館しました。

収蔵作品と展示

当館は「写実絵画」という特定のジャンルに特化している点が大きな特徴です。収蔵品は約500点に及び、その大半は現代日本作家によるものです。国内最大級となる森本草介のコレクションをはじめ、野田弘志、中山忠彦、島村信之など、約60名の著名な写実画家たちの作品を所蔵しています。また、一部海外作家の作品も含まれています。

約500点の収蔵品は常に入れ替えが行われ、約半年ごとに展示作品が更新されます。地上1階、地下2階からなる三層構造の回廊型ギャラリーには、常に約120点の作品が展示されており、訪れるたびに新たな発見があります。

特徴的な建築空間

ホキ美術館の建物そのものも見どころの一つです。日建設計の設計、大林組の施工により2010年に竣工し、数々の建築賞を受賞しています。特に、1階のギャラリー1は、その先端30メートルが宙に浮かぶカンチレバー構造となっており、公園の緑の中にせり出すようなダイナミックな外観を創り出しています。館内の照明は全てLEDが使用されており、作品鑑賞に最適な環境が整えられています。また、鑑賞時の足への負担を考慮し、床材にはゴム素材が採用されています。

ギャラリー空間は連続する回廊状になっており、以下のような構成で展示が行われています。

ギャラリー1（1F）: 企画展の展示室。ガラス窓から自然光を取り込む開放的な空間です。
ギャラリー2（B1）: 森本草介、島村信之など、人物画を中心に展示。
ギャラリー3（B1）: 野田弘志によるホキ美術館最大の作品「神仙沼 - 保木将夫氏に捧ぐ」が常設展示されています。
ギャラリー4, 5: 現在は閉鎖中。
ギャラリー6（B2）: 3点の大作が展示されています。
ギャラリー7（B2）: 陶芸作品（板谷波山、富本憲吉）が展示されています。
ギャラリー8（B2）: 100号以上の「私の代表作」13点を展示。音声ガイドの利用も可能です（一部作品のみ）。
ギャラリー9（B2）: 島村信之の作品を展示しています。

近年、館内Wi-Fiが整備され、ギャラリー8の一部作品ではQRコードを読み込むことで作家自身の声による解説を聞くことができるようになりました。

施設と活動

館内には、写実絵画の魅力をより深く体験できる施設が併設されています。本格的なイタリア料理とワインを楽しめるレストラン「はなう」、軽食やドリンクを提供するカフェ、そして図録やポストカードなどを購入できるミュージアムショップがあります。

展覧会は企画展を中心に、様々なテーマで開催されています。また、収蔵作品の一部は国内外の美術館への巡回展や交換展にも出品され、写実絵画の普及に貢献しています。不定期に、画家や専門家を招いたギャラリートークや、クラシックコンサートなども開催されており、多角的に写実絵画の世界に触れる機会を提供しています。

災害からの復旧

2019年10月25日に千葉県を襲った豪雨により水害に見舞われましたが、約9ヶ月間の休館を経て、2020年8月1日より営業を再開しました。

利用案内

開館時間: 午前10時～午後5時30分（入館受付は午後5時まで）
休館日: 火曜日（国民の祝日の場合は開館し、翌日休館）
入館料: 一般 2,100円、高校生・大学生・65歳以上 1,600円、中学生 1,000円、小学生以下 800円（保護者1名につき小学生以下2名まで無料）
各種割引（シニア、学生、障害者手帳提示など）制度あり。
有料会員制度もあります。
支払方法: 現金、主要クレジットカード、交通系ICカード、各種電子マネーが利用可能です。
アクセス:
JR外房線土気駅南口より千葉中央バス「あすみが丘ブランニューモール行き」に乗車、「あすみが丘東4丁目」下車徒歩約2分、または土気駅南口より徒歩約20分。
自家用車の場合は、千葉東金道路中野ICまたは圏央道茂原北IC・大網白里SICを利用。カーナビで検索する際は、美術館住所よりも専用駐車場の住所（千葉市緑区あすみが丘東3-13）を入力すると正確な案内が得られます。無料駐車場（普通車約40台、バス2台）があります。
注意事項: 館内での撮影、録画、録音、通話、喫煙、飲食は禁止されています。

ホキ美術館は、精緻な筆致で描かれた写実絵画の迫力と魅力を間近で体感できる貴重な場所です。写実絵画の世界に深く没入できる空間と、周辺の豊かな自然景観とともに、心静かに作品と向き合う時間を提供しています。

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