ホセ・ロペス・ポルティーヨ

ホセ・ロペス・ポルティーヨ・イ・パチェコ

ホセ・ロペス・ポルティーヨ・イ・パチェコ（José López Portillo y Pacheco）は、1920年6月16日にメキシコシティで生まれ、2004年2月17日に亡くなったメキシコの政治家である。彼は1976年から1982年までメキシコ合衆国の第51代大統領を務めた。彼の政治経歴は、メキシコ社会において大きな影響を与えた。

政治家としての道のり

ロペス・ポルティーヨは、メキシコ国立自治大学で法学を学び、1959年に制度的革命党に入党して政界に携わるようになった。彼はその後、グスタボ・ディアス・オルダス及びルイス・エチェベリアの両政権で閣僚として活動し、特に1973年から1975年にはエチェベリア政権下で財務大臣を務めた。1976年には制度的革命党の大統領候補として選出され、翌月には大統領に就任した。

政権の特徴と政策

ポルティーヨ政権は、その前のエチェベリア政権の政策を引き継ぎつつ、積極的な経済発展を追求した。特に注目すべきは、メキシコのカンクンで開催された南北サミットで、アメリカ、日本、西ドイツなどの先進国とインドや中華人民共和国、ブラジルなどの発展途上国の首脳を一堂に招き、国際的な議題である南北問題を議論したことだ。このように彼は、第三世界のリーダーとしての役割を果たす一方、財政危機に直面していたメキシコの経済にも注力した。

1976年に発生した財政危機後、ポルティーヨは企業家層との関係の改善を図り、その結果、国営企業を重視する姿勢は続けた。特に、国営石油会社ペメックスはオイルショックにより業績が好転し、国の財政は一時的に安定を保つことができた。石油価格の急上昇に伴い、メキシコ経済は成長を続け、新たな油田も発見され、経済活動は活発化した。

財政危機とその後

しかし、ポルティーヨ政権の野心的な経済開発政策は、政府の借款を急速に増大させる結果を招いた。1981年に石油価格が暴落すると、メキシコの財政は瞬時に困難に陥り、通貨メキシコ・ペソの急落により外国からの融資が困難になるという事態が発生した。この危機に対処するため、ポルティーヨは1982年9月1日に銀行の国有化を発表したが、これによっても根本的な問題解決には至らなかった。最終的に、彼は後任として同政権の企画予算大臣であったミゲル・デ・ラ・マドリ・ウルタードを指名し、彼が当選した後に政界を退いた。

日本との関係

ホセ・ロペス・ポルティーヨは、1978年10月に国賓として日本を訪問し、その際には天皇や福田首相と会談を行った。この訪問により、メキシコと日本との関係も強化され、彼は大勲位菊花大綬章を受章した。

ポルティーヨの人生と政治における影響は、メキシコにおける経済的発展や国際政治の舞台において重要な役割を果たした。彼の政権は賛否両論が分かれるものの、メキシコの歴史に大きな足跡を残した。

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