ホリデーシリーズ

「ホリデー」シリーズ

坂木司による「ホリデー」シリーズは、『ワーキング・ホリデー』を第一作とする推理小説シリーズです。

概要

このシリーズは、元ホストの沖田大和と、彼の息子である神保進を中心に物語が展開します。沖田はかつて別居していた恋人・神保由希子との間に生まれた息子・進と11年ぶりに再会し、共同生活を送ることになります。シリーズを通して、彼らの触れ合い、成長、そして周囲の人々との関わりが描かれます。

『ワーキング・ホリデー』: 夏休みまたは春休みの期間を舞台に、沖田と進の再会と共同生活の始まりが描かれます。沖田はホストクラブを解雇された後、新興の運送会社で働き始め、そこで様々な人々との出会いを経験します。
『ウィンター・ホリデー』: 冬休みからホワイトデーにかけての期間を舞台に、再び沖田のもとを訪れた進と、沖田が新たな職場で新人指導に奮闘する姿が描かれます。
『ホリデー・イン』: 沖田以外の登場人物たちの視点から、沖田の人物像が描かれるスピンオフ作品です。

シリーズ累計は『ホリデー・イン』文春文庫版第1刷時点で26万部に達しています。『ホリデー・イン』文春文庫版は、オリコン2017年4月17日付週刊ランキング文庫部門で第18位を記録しました。

また、坂木の別作品との関連もあり、「ひきこもり探偵」シリーズに登場する木村栄三郎が顧客として登場したり、他の作品との舞台設定や企画で関連があったりします。特に、『ワーキング・ホリデー』出版の文藝春秋と、他の出版社との連動企画で書き下ろされた掌編小説『ホリデーとホテルと僕』は、シリーズを跨いだユニークな試みとして注目されました。

あらすじ

ワーキング・ホリデー

物語は、ホストクラブ「クラブ・ジャスミン」で働く沖田大和の前に、突然一人の小学生が現れるところから始まります。その小学生は沖田の息子・神保進と名乗り、二人は共同生活を送ることになります。沖田はホストクラブを解雇され、運送会社「ハニービー・エクスプレス」で働くことになります。そこでリヤカーを使った配送業務に奮闘しながら、進との関係を深めていきます。

ウィンター・ホリデー

冬休みになり、再び沖田のもとを訪れた進。一方、沖田は運送会社で新人アルバイトの指導を任されることになります。沖田は仕事と進の世話を両立させながら、新たな人間関係を築いていきます。

登場人物

主要人物

沖田大和（おきた やまと）: 主人公。元ホストで、現在は運送会社「ハニービー・エクスプレス」で働いています。破天荒な性格ながらも、根は優しく、息子・進との関係を大切にしています。
神保進（じんぼ すすむ）: 沖田の息子。小学5年生。しっかり者で家事が得意。沖田との共同生活を通じて成長していきます。
神保由希子（じんぼ ゆきこ）: 進の母親。沖田の元恋人で、進と二人暮らし。

クラブ・ジャスミンの関係者

雪夜（ゆきや）: 沖田のホスト時代の同僚。プロ意識が高く、完璧主義者。
ナナ: クラブ・ジャスミンの常連客。裕福な家庭に育ち、寂しさを感じています。進の幸せを願っています。
マキ: 『ホリデー・イン』に登場。ナナの友人。
ジャスミン: ホストクラブ「クラブ・ジャスミン」の経営者。おかまで、沖田をハニービー・エクスプレスに紹介しました。

ハニービー・エクスプレスの関係者

鬼頭（きとう）: ハニービー・エクスプレス支店長。ジャスミンの同級生。従業員からの渾名は「ボス」。
刈沢（かりさわ）: 沖田のパートナー。理系の風貌で、人当たりの良い接客を行います。
林（はやし）: 沖田のパートナー。フィギュア収集が趣味で、自宅でジオラマを展開しています。
岩尾（いわお）: シルバー枠で採用されたアルバイト。メール便を担当しています。
三木本（みきもと）: 岩尾の代理でメール便を担当するアルバイト。大学へ通学している。
大東（だいとう）: 『ウィンター・ホリデー』に登場するアルバイト従業員。沖田の指導を受けます。
武藤（むとう）: 『ホリデー・イン』に登場。大東の母親の介護担当。

ハニービー・エクスプレスの依頼主

鈴木孝子（すずき たかこ）: 小学校の先生で、沖田のホスト時代の顧客。
根岸（ねぎし）: おせちの配送を依頼した老婦人。
岩下（いわした）: おせちの配送を依頼した依頼主。
金田まり: バレンタインチョコの配送を依頼した女子中学生。

進の関係者

シュン: 進の友達。恰幅が良い。
ヒデト: 進の友達。色白。
コウタ: 進のクラスメイト。セリナに想いを寄せている。
セリナ: コウタの想い相手。進を擁護する。

沖田の不良時代関係者

サクライ: 沖田の後輩。和菓子屋に勤務。

メディアミックス

映画

『ワーキング・ホリデー』は、2012年に同名で映画化されました。監督は岡本浩一、主演はAKIRAが務めました。原作小説とは異なる展開やキャラクター設定も含まれています。

漫画

『ワーキング・ホリデー』は、こやまあやこの作画で漫画化されました。全10話、全2巻で刊行されています。漫画版では、原作小説とは異なる独自のサブタイトルが使用されています。

シリーズ作品一覧

『ワーキング・ホリデー』（2007年、文藝春秋）
『ウィンター・ホリデー』（2012年、文藝春秋）
『ホリデー・イン』（2014年、文藝春秋）

関連情報

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「ホリデー」シリーズは、親子の絆、成長、そして人間関係の温かさを描いた、心温まる作品です。

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