坂木司

坂木司は1969年東京都生まれの日本の小説家です。彼の作品は、「主人公の成長」と「日常の謎」を軸にしたミステリーであり、読者に深い印象を与えます。日本推理作家協会と本格ミステリ作家クラブの会員としても活躍しています。

略歴と人物像

幼少期から活字本や漫画、アニメに親しみ、特に『ドラえもん』や『リボンの騎士』に影響を受けました。大学卒業後、池波正太郎の『剣客商売』を愛読する一方で、沢木耕太郎の『深夜特急』に感銘を受けて退職を決意。その後、東京創元社社長の戸川安宣氏と出会い、デビューのきっかけをつかみます。2002年、『青空の卵』で覆面作家としてデビューし、同作を含む『ひきこもり探偵シリーズ』で注目を集めました。

ペンネームはデビュー作の登場人物に由来します。デビュー前はペンネームが未定でしたが、特に思いつかず、作品の登場人物の名前をそのまま使用しました。出生年や生い立ち、学歴は公表していますが、性別をはじめとするその他のプロフィールは非公開です。これは、読者に先入観を与えないための意図的な選択です。

作風の特徴

坂木氏の作品は、他の作家との「被らないこと」を重視しています。これは、彼の天邪鬼な性格と、独自の視点によるものでしょう。作品では日常に潜む謎を丁寧に描き出し、読者を物語の世界に引き込みます。

『何が困るかって』について

短編集『何が困るかって』に収録されている「ぶつり」は、「Webミステリーズ!」でオンライン小説として発表された後、書籍に収録されました。また、本書のPOP広告に掲載されたイラストは、坂木氏自身が手がけています。

作品リスト

以下は坂木司の主な作品シリーズと、その他の作品、アンソロジーへの参加作品です。

ひきこもり探偵シリーズ

坂木氏の代表作の一つで、日常の謎をテーマにしたミステリーでありながら、人間関係を深く掘り下げた青春小説としても読めます。

『青空の卵』（2002年）
『仔羊の巣』（2003年）
『動物園の鳥』（2004年）

ホリデーシリーズ

『ワーキング・ホリデー』（2007年）
『ウィンター・ホリデー』（2012年）
『ホリデー・イン』（2014年）

二葉と隼人の事件簿シリーズ

『先生と僕』（2007年）
『僕と先生』（2014年）

和菓子のアンシリーズ

和菓子店を舞台にした日常ミステリーです。

『和菓子のアン』（2010年）
『アンと青春』（2016年）
『アンと愛情』（2020年）
『アンと幸福』（2023年）

その他の作品

『切れない糸』（2005年）
『シンデレラ・ティース』（2006年）
『ホテルジューシー』（2007年）
『夜の光』（2008年）
『短劇』（2008年）
『大きな音が聞こえるか』（2012年）
『肉小説集』（2014年）
『何が困るかって』（2014年）
『女子的生活』（2016年）
『鶏小説集』（2017年）
『楽園ジューシー』(2022年)
『ショートケーキ。』(2022年)


アンソロジーへの参加作品

「ホテルジューシー」（『Sweet Blue Age』収録）
「先生と僕」（『名探偵の奇跡 最新ベストミステリー』収録）
「告白の日」（『旅立ち。卒業、十の話』収録）
「長い片想い」（『ピュアフルアンソロジー 片想い。』収録）
「秋の足音」（『きみが見つける物語 十代のための新名作・友情編』収録）
「空の春告鳥」（『坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー』収録）
「国会図書館のボルト」（『大崎梢リクエスト!本屋さんのアンソロジー』収録）
「ジャグジー・トーク」（『エール!2』収録）
「国会図書館のボルト」（『奇想博物館 最新ベスト・ミステリー』収録）
「時候の挨拶」（『私がデビューしたころ ミステリ作家51人の始まり』収録）
「女子的生活」（『この部屋で君と』収録）
「或る休日」（『パレス・メイヂ (4) 同人誌付き特装版』収録）
「うつろう宝石」（『みんなの少年探偵団2』収録）
「勝負」（『自薦 THE どんでん返し（2）』収録）

雑誌連載作品

『おやつが好き』（銀座百点会『銀座百点』）
『和菓子のアン』（『ジャーロ』）
『きみのかたち』（『紙魚の手帖』）
『山の学校』(『文蔵』)

メディアミックス

映画『ワーキング・ホリデー』（2012年）
ドラマ『青空の卵』（2012年）
ドラマ『女子的生活』（2018年）


漫画化

『ワーキング・ホリデー』
『青空の卵』
『和菓子のアン』

朗読化

* 『青空の卵』を含む「ひきこもり探偵シリーズ」全3作が朗読化されています。


坂木司の作品は、日常の中に潜む小さな謎と、それを解き明かす登場人物たちの繊細な心理描写が魅力です。ぜひ一度、その世界に触れてみてください。

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