ホワイトナルビー

ホワイトナルビー：地方競馬の至宝と、その偉大な血脈

ホワイトナルビーは、1974年北海道浦河町のパール牧場で誕生した競走馬です。競走馬としては笠松競馬場で4勝を挙げ、その後繁殖牝馬として新たな道を歩み始めます。その活躍は、日本の競馬史に大きな足跡を残すこととなりました。

波乱万丈な競走馬時代

競走馬時代、ホワイトナルビーは人間を極端に嫌う気性で知られていました。東海地区の馬主である小栗孝一氏が、高額の買付金600万円で笠松競馬調教師の鷲見昌勇氏より購入しました。この金額は当時の地方競馬では異例の高額取引でした。当初は、競走馬引退後はパール牧場に繁殖牝馬として預けるという条件付きでしたが、後に条件解除のため追加で200万円を支払ったとのことです。

鷲見調教師の下で競走生活を送ったホワイトナルビーはデビュー後4勝を挙げましたが、1977年に膝の故障により、わずか3歳で競走馬を引退することとなります。しかし、引退直前の3戦は全て勝利しており、その潜在能力の高さを伺わせるものでした。

繁殖牝馬としての驚異的な成功

引退後は北海道三石町の稲葉牧場へ繋養されました。この稲葉牧場への預託は、同牧場で生産された笠松競馬所属の競走馬ダイタクチカラの活躍を目撃した鷲見調教師の訪問がきっかけで、牧場主の息子である稲葉裕治氏の強い要望により実現しました。

ここで、ホワイトナルビーは繁殖牝馬として驚異的な成功を収めます。中央競馬のGI競走で12勝を挙げ、1980年代後半の第2次競馬ブームを巻き起こしたオグリキャップや、桜花賞を制したオグリローマンなど、数々の名馬を輩出しました。その産駒15頭は、オグリメーカーとオグリビートを除き全て異なる父馬を持ちながら、地方競馬、中央競馬を問わず活躍し、総勝利数は133という驚異的な数字を記録しました。中央未出走の繁殖牝馬としては異例ずくめの成績で、その繁殖能力の高さは、当時の人々を驚かせました。初産駒以降、14年間連続で受胎・出産を繰り返した安定感も、この偉業に大きく貢献したと言えるでしょう。

この顕著な功績から、1996年には地方競馬全国協会（NAR）より特別表彰を受賞しました。

子孫たちの活躍

ホワイトナルビーは2001年に死亡しました。孫世代以降は中央競馬での活躍馬は少ないものの、地方競馬においては、その血統の強さを示す活躍が続いています。オグリロードの産駒であるオグリダンディの川崎記念制覇、オグリローマンの産駒オグリホットの岩手ウイナーカップ制覇、オグリビートの孫オグリタイムの水沢南部駒賞制覇など、地方競馬で数々の勝利を挙げ、その血脈の強さを証明しています。2020年代に入っても、オグリローマンの曾孫グラインドアウトが佐賀の花吹雪賞を制するなど、地方競馬を中心にその子孫の活躍は現在も続いています。

ホワイトナルビーの血統

ホワイトナルビーの父は、1966年のフランス最優秀マイラーで、種牡馬としても、特にブルードメアサイアー（母方の父）として高い評価を得ています。4代母には、1953年秋の天皇賞を制したクインナルビーがいます。クインナルビーの子孫には、ホワイトナルビー一族のほか、キョウエイマーチ、アンドレアモン、マルシュロレーヌなど、多くの名馬が名を連ねています。

ホワイトナルビーの偉業

ホワイトナルビーは、地方競馬で活躍した競走馬としてのキャリアだけでなく、繁殖牝馬としての類まれな成功により、日本の競馬界に大きな影響を与えました。その血統は、地方競馬を中心に現在も受け継がれ、多くの名馬を輩出し続けています。ホワイトナルビーの物語は、地方競馬の歴史、そして日本の競馬史において、決して忘れられることのない輝かしい1ページとして刻まれています。

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