ホワイト・クリスマス (映画)

映画『ホワイト・クリスマス』の詳細解説

『ホワイト・クリスマス』（White Christmas）は、1954年に公開されたアメリカのミュージカル映画です。ビング・クロスビーとダニー・ケイが主演を務め、アーヴィング・バーリンの名曲「ホワイト・クリスマス」を始めとする数々の歌が彩ります。監督はマイケル・カーティス、共演にはローズマリー・クルーニーとヴェラ＝エレンが名を連ねています。この作品は、ビスタビジョン方式で撮影・公開された最初の映画としても知られています。

あらすじ

物語は、第二次世界大戦終結直後の1944年、クリスマス・イブのヨーロッパ戦線から始まります。かつてブロードウェイのスターだったボブ・ウォレス（ビング・クロスビー）と、芸人の卵フィル・デイヴィス（ダニー・ケイ）は戦友として出会います。前線で兵士たちのために慰問ショーを行っていた二人は、その最中に将軍の交代劇に遭遇します。その混乱の中で、フィルはボブを救出し、腕に軽い怪我を負います。この怪我をきっかけに、フィルは戦後も共にショーをすることをボブに約束させます。この腕の傷をネタにボブを説得するパターンは、映画全体を通して繰り返されるコミカルな要素となっています。

戦後、二人はナイトクラブやラジオ、そしてブロードウェイで成功を収め、プロデューサーとしても活躍します。大ヒットミュージカル『Playing Around』を上演した後、フロリダ公演中に、旧友からの手紙を受け取ります。その内容は、妹たちのオーディションをしてほしいというものでした。オーディション会場で出会ったのは、姉ベティ（ローズマリー・クルーニー）と妹ジュディ（ヴェラ＝エレン）の姉妹でした。ボブとフィルは、ベティとジュディが大家と保安官から逃げているところを助け、彼女たちを列車に乗せます。その際、自分たちの切符を姉妹に渡したため、自分たちは切符なしで出発することになります。

フィルは腕の傷をネタにボブを説得し、姉妹とともにバーモント州へ休暇に出かけることになります。バーモント州で二人は、かつての司令官ウェイヴァリー将軍が経営する宿が倒産寸前であることを知ります。恩のある将軍を救うため、ボブとフィルはブロードウェイのキャストを引き連れて、ミュージカル『Playing Around』を上演することを決意します。さらに、将軍が陸軍復帰を希望しているものの拒否されていることを知ったボブは、かつての戦友たちに呼びかけ、将軍が忘れられた存在ではないことを証明しようとします。

ボブはテレビ番組の司会者であるエド・ハリスンに協力を依頼します。しかし、このやり取りを誤解した家政婦エマ・エレンは、ベティに誤った情報を伝えてしまいます。誤解したベティは、ボブの元を離れてしまいます。しかし、ボブの真意を知ったベティは、クリスマス・イブのショーに間に合うように駆けつけます。一方、将軍は古い軍服を着てショーに臨みます。ショーが始まると、かつての部下たちが「We'll Follow the Old Man」を大合唱し、将軍を歓迎します。そして、雪が降り始め、ハッピーエンドを迎えます。

キャスト

ボブ・ウォレス：ビング・クロスビー
フィル・デイヴィス：ダニー・ケイ
ベティ・ヘインズ：ローズマリー・クルーニー
ジュディ・ヘインズ：ヴェラ＝エレン
トマス・F・ウェイヴァリー少将：ディーン・ジャガー

劇中歌

劇中では、アーヴィング・バーリンによる以下の楽曲が使用されています。

"ホワイト・クリスマス White Christmas" (ビング・クロスビー)
"It's Cold Outside" (ビング・クロスビー)
"The Old Man" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、兵士の合唱)
Medley: "Heat Wave"/"Let Me Sing and I'm Happy"/"Blue Skies" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ)
"Sisters" (ローズマリー・クルーニー)
"The Best Things Happen While You're Dancing" (ダニー・ケイ [ヴェラ＝エレン])
"Snow" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー、スティーヴンス)
"Sisters (reprise)" (ローズマリー・クルーニー)
ミンストレル・ショーの曲: "I'd Rather See a Minstrel Show"/"Mister Bones"/"Mandy" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー、ヴェラ＝エレン、合唱)
"Count Your Blessings Instead of Sheep" (ビング・クロスビー、ローズマリー・クルーニー)
"Choreography" (ダニー・ケイ)
"The Best Things Happen While You're Dancing (reprise)" (ダニー・ケイ、合唱)
"Abraham" (インストゥルメンタル)
"Love, You Didn't Do Right By Me" (ローズマリー・クルーニー)
"What Can You Do with a General?" (ビング・クロスビー)
"The Old Man (reprise)" (ビング・クロスビー、兵士の合唱)
"Gee, I Wish I Was Back in the Army" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー、スティーヴンス)
* "White Christmas (finale)" (ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー、スティーヴンス、合唱)

製作

撮影は1953年に行われ、ビスタビジョン方式で撮影された最初の映画となりました。この作品は、当初、ビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演で企画されましたが、アステアが脚本を断り、ドナルド・オコーナー、最終的にダニー・ケイが代役を務めることとなりました。

ヴェラ＝エレンは、劇中では常にハイネックの衣装を着用していますが、これは当時の拒食症説は誤りであり、実際にはその必要はなかったことが後の検証で判明しています。また、ヴェラ＝エレンの歌唱シーンは、トゥルーディー・スティーヴンスが吹き替えを担当しています。

興行成績

『ホワイト・クリスマス』は1954年の興行成績トップとなり、大きな成功を収めました。

舞台化

2004年には、ミュージカル『Irving Berlin's White Christmas』として舞台化され、アメリカ各地やブロードウェイ、イギリスで上演されています。

まとめ

『ホワイト・クリスマス』は、美しい音楽と心温まるストーリーで、公開から70年近く経った今も多くの人に愛される名作です。特に、タイトル曲でもある「ホワイト・クリスマス」は、クリスマスの定番ソングとして、世界中で歌い継がれています。この映画は、クリスマスシーズンになると必ず見たくなる、温かい気持ちにさせてくれる作品です。

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