ヴェラ＝エレン

ヴェラ＝エレン（Vera-Ellen, 1921年2月16日 - 1981年8月30日）は、アメリカ合衆国の女優であり、卓越したダンサーとして知られています。彼女は、主にフレッド・アステア、ジーン・ケリー、ドナルド・オコーナーといったダンス界の巨匠たちのパートナーとして、数々のミュージカル映画でその才能を開花させました。

生い立ちとキャリア初期

ヴェラ＝エレンの本名はヴェラ・エレン・ウエストマイヤー・ローエといい、オハイオ州ノーウッドでドイツ系移民の家庭に生まれました。幼い頃からダンスに才能を発揮し、9歳でダンスを始めると、その上達の速さは目を見張るものがありました。16歳になると、ラジオのオーディション番組「Major Bowes Amateur Hour」で優勝し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。

ブロードウェイでの成功と映画界への進出

1939年、18歳でブロードウェイの舞台にデビュー。ジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世のミュージカル「Very Warm for May」でその才能を披露しました。彼女は、身長こそ高くなかったものの、ラジオシティ・ミュージックホールのダンスカンパニー「ザ・ロケッツ」の最年少メンバーの一人として活躍しました。その後も、「パナマ・ハッティー」、「バイ・ジュピター」、「コネチカット・ヤンキー」といったブロードウェイミュージカルで重要な役を演じ、その演技がサミュエル・ゴールドウィンの目に留まりました。1945年には、映画「ダニー・ケイの天国と地獄」でダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨと共演し、映画界に進出しました。

映画スターとしての活躍

ヴェラ＝エレンは、「ワーズ&ミュージック」（1948年）、「踊る大紐育」（1949年）でジーン・ケリーと息の合ったダンスを披露しました。また、マルクス兄弟の最後の映画「ラヴ・ハッピー」（1949年）にも出演。「土曜は貴方に」（1950年）、「ベル・オブ・ニューヨーク」（1952年）では、フレッド・アステアと並び主演を務めました。「ホワイト・クリスマス」（1954年）ではビング・クロスビー、「Call Me Madam 」（1953年）ではドナルド・オコーナーと共演し、そのダンスと演技の才能をいかんなく発揮しました。彼女のダンスは、その正確さと優雅さで観客を魅了し、当時のミュージカル映画界に大きな足跡を残しました。

晩年と私生活

1950年代には、「ハリウッドで最も細いウエスト」と称賛された一方で、拒食症に苦しんでいたとも言われています。この摂食障害の影響で、実年齢よりも老けて見えたとも言われており、1954年の映画「ホワイト・クリスマス」では、首を覆う衣装を着用していたという説もあります。しかし、同年10月に行われた映画「スタア誕生」のプレミア上映会では、首や肩を露出したドレス姿で登場しており、この説には疑問が残ります。

1957年に映画界を引退。その後、1958年や1959年には、ダイナ・ショアやペリー・コモのテレビ番組にゲスト出演しました。ヴェラ＝エレンは、生涯で二度結婚しており、一度目はダンサー仲間のロバート・ハイタワーと、二度目は大富豪のビクター・ロスチャイルドと結婚しましたが、どちらも離婚に終わっています。ロスチャイルドとの結婚中に娘のビクトリア・エレン・ロスチャイルドを出産しましたが、1963年に乳幼児突然死症候群で亡くしました。娘の死後、ヴェラ＝エレンは公の場から姿を消し、1981年に癌で亡くなりました。

出演作品

映画
ダニー・ケイの天国と地獄 (1945)
ダニー・ケイの牛乳屋 (1946)
Three Little Girls in Blue (1946)
Carnival in Costa Rica (1947)
ワーズ&ミュージック (1948)
ラヴ・ハッピー (1949)
踊る大紐育 (1949)
土曜は貴方に (1950)
銀の靴 (1951)
ベル・オブ・ニューヨーク (1952)
Call Me Madam (1953)
Big Leaguer (1953)
ホワイト・クリスマス (1954)
Let's Be Happy (1957)

舞台
Very Warm for May (1939)
Higher and Higher (1940)
Panama Hattie (1940)
By Jupiter (1942)
コネチカット・ヤンキー (1943)

外部リンク

ヴェラ＝エレン - IMDb（英語）
* ヴェラ＝エレン - インターネット・ブロードウェイ・データベース（英語）

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