ホンエビ上目

ホンエビ上目（Eucarida）とは

ホンエビ上目は、軟甲綱真軟甲亜綱に属する大きな分類群で、エビ上目とも呼ばれます。甲殻類の中では、フクロエビ上目に次ぐ規模を誇り、その多様性は目を見張るものがあります。

多様な生態と分布

ホンエビ上目を構成する主なグループは十脚目であり、熱帯から極地、山間の渓流から深海まで、あらゆる環境に適応した多様な種が生息しています。オキアミ目の種類数は十脚目より少ないものの、特定の海域では膨大な個体数を誇り、生態系において重要な役割を担っています。また、アンフィオニデス目を合わせると、特に浅海域でその多様性が顕著になります。

しかし、ホンエビ上目には、完全な陸生種、寄生生活を送る種、深海5000メートル以深に生息する種は少ないため、生活範囲はフクロエビ上目よりやや狭いと言えます。

特徴的な形態

ホンエビ上目の体長は、数ミリメートルから数十センチメートルと非常に幅があります。特に十脚目には、タカアシガニやロブスターのように、脚を含めると人間の両手を大きく超える大型種も存在します。

大きな特徴として、背甲が頭部と胸部を覆う「頭胸甲」を形成している点が挙げられます。また、感覚器や神経系、筋肉の発達も著しく、高い運動能力を有しています。この運動能力は、遊泳や外敵からの逃避に役立っています。

多様な繁殖形態

ホンエビ上目の繁殖は基本的に卵生です。メスは交尾後、受精卵を産卵し、卵は海中に放出されます。孵化した幼生はノープリウス幼生という形態で、成長過程で数回の変態を経て成体になります。

ただし、十脚目の抱卵亜目では、メスが腹肢に受精卵を付着させて保護します。孵化する幼生もノープリウスから進化したゾエア幼生です。さらに、ザリガニ類やサワガニのような完全淡水生種では、直達発生により親とほぼ同じ姿で生まれる種もいます。オキアミ目の中にも、短期間ながら受精卵を抱卵する種が存在します。

分類

ホンエビ上目は、以下の3つの目で構成されています。

オキアミ目（Euphausiacea）
ソコオキアミ科（Bentheuphausiidae） - 1属1種
オキアミ科（Euphausiidae）
アンフィオニデス目（Amphionidacea）
アンフィオニデス科（Amphionididae） - 1科1属1種
十脚目（Decapoda）
根鰓亜目（Dendrobranchiata）
抱卵亜目（Pleocyemata）

アンフィオニデス目は1科1属1種のみ、オキアミ目も2科のみと、比較的種類数が少ないのが特徴です。しかし、十脚目は非常に多様で、多くの種が知られています。

まとめ

ホンエビ上目は、甲殻類の中でも特に多様性に富んだグループです。その生態や形態、繁殖方法の違いは、様々な環境への適応を示す好例と言えるでしょう。特に十脚目は、生態系の重要な一員として、その存在が欠かせません。

参考文献

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