ホンキン・オン・ボーボゥ

『ホンキン・オン・ボーボゥ』（Honkin' on Bobo）は、エアロスミスが2004年に発表したカバー・アルバムであり、彼らの音楽的なルーツを深く掘り下げた作品として知られています。

アルバム概要

このアルバムは、ブルース音楽のカバーを主体として構成されており、唯一のオリジナル新曲として「ザ・グラインド」が収録されています。レコーディングは、ライブ感と即興性を重視し、主に一発録りで行われました。このアプローチにより、エアロスミスのメンバーたちの生々しい演奏と、ブルースへの情熱がダイレクトに伝わる作品となっています。

2003年に行われたキッスとのダブル・ヘッドライナー・ツアーでは、アルバム収録曲の一部が、アルバムの発表に先駆けて披露されました。これにより、ファンは新作への期待を高めました。

アルバムはBillboard 200で全米5位を記録し、商業的にも成功を収めました。また、アルバムからシングルカットされた「ベイビー、プリーズ・ドント・ゴー」は、ビルボードのメインストリーム・ロック・チャートで7位に達し、アルバムのプロモーションに大きく貢献しました。

本作のリリースに伴い、エアロスミスはアメリカ・ツアーを実施しました。このツアーでは、チープ・トリックがスペシャル・ゲストとして参加し、会場を大いに盛り上げました。

収録曲について

アルバムには、ブルースのスタンダードナンバーから、ロックンロールのルーツとなった楽曲まで、幅広い選曲がされています。

「ロード・ランナー」：ボ・ディドリーが1959年に発表した楽曲のカバー。
「シェイム・シェイム・シェイム」：スマイリー・ルイスが1956年に発表した楽曲のカバー。
「アイサイト・トゥ・ザ・ブラインド」：サニー・ボーイ・ウィリアムソンIIが1951年に発表した楽曲のカバー。
「ベイビー、プリーズ・ドント・ゴー」：ビッグ・ジョー・ウィリアムスが1935年に発表した楽曲のカバー。マディ・ウォーターズやゼムなど、多くのアーティストによってカバーされている。
「ネヴァー・ラヴド・ア・ガール」：アレサ・フランクリンが1967年に発表した楽曲のカバー（アレサ版のタイトルは"I Never Loved a Man (The Way I Love You)"）。
「バック・バック・トレイン」：フレッド・マクダウェルが1968年に発表した楽曲のカバー。ジョー・ペリーがリード・ボーカルを担当。
「ユー・ガッタ・ムーヴ」：フレッド・マクダウェルの1965年の録音で知られる楽曲のカバー。ローリング・ストーンズもカバーしている。
「ザ・グラインド」：スティーヴン・タイラー、ジョー・ペリー、マーティ・フレデリクセンによるオリジナル曲。
「アイム・レディ」：マディ・ウォーターズが1954年に発表した楽曲のカバー。
「テンパラチュア」：リトル・ウォルターが1957年に発表した楽曲のカバー。
「ストップ・メッシン・アラウンド」：フリートウッド・マックのアルバム『ミスター・ワンダフル』（1968年）収録曲のカバー。ジョー・ペリーがリード・ボーカルを担当。
「ジーザス・イズ・オン・ザ・メイン・ライン」：伝統的な黒人霊歌のカバー。
日本盤ボーナス・トラックとして「ジェイディッド」が収録。アルバム『ジャスト・プッシュ・プレイ』（2001年）収録曲の再収録。

参加ミュージシャン

エアロスミスのメンバーに加え、多数のゲストミュージシャンが参加しています。

スティーヴン・タイラー：ボーカル、ハーモニカ、ピアノ
ジョー・ペリー：ギター、ボーカル、ハーディ・ガーディ、ドブロ・ギター、スライドギター
ブラッド・ウィットフォード：ギター
トム・ハミルトン：ベース、アコースティック・ギター
ジョーイ・クレイマー：ドラムス、バッキング・ボーカル
ジョニー・ジョンソン：ピアノ
ポール・サント：ピアノ、エレクトリックピアノ、ハモンドオルガン
メンフィス・ホーン：ホーン・セクション
トレイシー・ボーナム、チェルシー・タイラー、レイラ・エル＝アミン：バッキング・ボーカル

『ホンキン・オン・ボーボゥ』は、エアロスミスのルーツ回帰を示すと同時に、彼らの音楽的な幅広さと深さを改めて認識させる作品と言えるでしょう。

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