ホンビノスガイ

ホンビノスガイ（本美之主貝）とは

ホンビノスガイ（学名: Mercenaria mercenaria）は、マルスダレガイ科に属する二枚貝の一種です。北アメリカ大陸の大西洋沿岸を原産とし、食用として世界各地に移入されました。日本では東京湾などで定着し、漁獲対象となっています。

ホンビノスガイの名称

英名では、成長段階に応じて countneck, littleneck, topneck, cherrystone と呼ばれ、最も大きいものは quahogs または chowder clam と呼ばれるなど、様々な呼び名があります。

和名である「本美之主貝」は、かつて本種がビーナス属 (Venus) に分類されていたことに由来します。現在はメルケナリア属 (Mercenaria) に分類されています。

以前は「大アサリ」と呼ばれることもありましたが、現在では別の貝（ウチムラサキ）を指すことが一般的です。また、「白ハマグリ」や「オオハマグリ」として流通することもありますが、シロハマグリは南米産の別種を指すため、誤用となります。

ホンビノスガイの分布

原産地は北米大陸の大西洋岸で、カナダからメキシコ湾にかけて広く分布しています。水深12m程度までの砂泥底に生息します。

日本では、1998年に東京湾で初めて確認されました。北米からの船舶に付着して運ばれたと考えられていますが、詳しい移入経路はまだ特定されていません。

オランダ、フランス、イギリス、中国など、他の国々でも水産資源として人為的に移入されています。

ホンビノスガイの生態

成貝は殻長10cm以上になる大型の貝で、殻の表面には同心円状の肋があります。殻の色は生育環境によって異なり、白っぽいグレーから黒ずんだ色まで変化します。ハマグリに比べて丸みが強く、左右非対称な形をしています。

酸素欠乏や低塩分に強く、アサリやハマグリが生息できない環境でも生きることができます。

ホンビノスガイの漁業と流通

アメリカでは重要な食用貝として広く漁獲されています。

日本では、千葉県市川市や船橋市などで漁獲されており、潮干狩りでも採取できます。近年では、砂抜きが容易で美味しいことが認識され、2005年頃から漁獲・流通が本格化しました。2013年には漁業権が設定され、現在では重要な海産物として扱われています。

ホンビノスガイは、「ホンビノス貝」や「本ビノス貝」とも表記され、市場に流通しています。

ホンビノスガイの料理

アメリカでは、クラムチャウダーやバター蒸し、ワイン蒸しなどで食べられます。ニューヨークなどでは、生食もされます。

日本では、酒蒸しや焼き物など、アサリやハマグリと同様の料理法で食べられます。価格も比較的安価です。主産地の船橋市では、クラムチャウダー選手権が開催されるなど、消費拡大の取り組みが行われています。

調理時に出る塩気はアサリやハマグリよりもやや強めですが、砂抜きは比較的簡単です。

外来種問題

ホンビノスガイは繁殖力が強く、在来種への影響が懸念されていますが、現時点では具体的な被害報告はありません。今後の生態調査が重要です。

まとめ

ホンビノスガイは、多様な魅力を持つ二枚貝です。食用としての価値はもちろんのこと、その生態や日本への移入経路など、興味深い側面を多く持っています。今後の研究や資源管理によって、より持続可能な利用が期待されます。

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