ホーカー テンペスト

テンペスト（Hawker Tempest）

テンペストは、イギリスのホーカー社によって開発された戦闘機で、イギリス空軍（RAF）で運用されていました。その名称は「嵐」を意味し、タイフーン戦闘機の進化型として1943年から量産が始まりました。

概要

テンペストは、第二次世界大戦中のイギリス空軍の中でも最高速を誇る機体のひとつです。特に、Mk.II型は中低高度において連合軍の中で最も高速であり、ドイツ奥地への侵攻や地上攻撃などで重要な役割を果たしました。また、イギリス本土防空任務に従事したり、高速性能を活かしてV1飛行爆弾を迎撃するなど、多方面で活躍しました。戦後は、ジェットエンジン戦闘機の普及までの間、改良型が海外や同盟国の空軍でも使用されました。

開発の軌跡

テンペストの開発は、もともとタイフーンの改良型として始まりました。当初は「タイフーン II（ホーカー P. 1012）」という名称がつけられ、急降下時の安定性を向上させるために主翼の変更や燃料タンクの移設、重心移動による尾翼部の改良などが行われました。1941年10月には航空省から仕様書が発行され、タイフーン Mk. IIの試作機が作られることになりましたが、1942年1月に多くの点で大幅な修正が行われたため、新たにテンペストと呼ばれることになりました。

試作機には異なるエンジンが搭載されることが提案され、最終的にMk. I、II、V、VIの4型式が生産されました。Mk. Iはネイピア製セイバーIVエンジンを搭載し、760km/hという最高速度を記録しましたが、そのエンジンの開発に失敗したため量産には至りませんでした。Mk. IIは、空冷式のブリストル製セントーラスVエンジンを搭載し、航続距離を延ばしましたが、実戦への投入には間に合いませんでした。Mk. Vはセイバー IIエンジンを搭載し、最初の100機はMk. Vシリーズ Iとして生産され、その後800機のMk. Vは武装の変更がなされ、Mk. Vシリーズ IIとして呼ばれるようになりました。Mk. VIもごく少数が生産され、熱帯使用に適した装備が施されましたが、これも戦後までの配備がされました。

各種形式

テンペストは様々な型が生産され、その中には次のようなものがあります：

• - F Mk.I: セイバー Mk.IVエンジンを搭載した型で、発注はあったものの製作が中止され、試作機が1機のみ製造されました。
• - F Mk. II: セントーラスV型またはVI型を搭載し、136機が製造されました。
• - FB Mk. II: F Mk. IIを元に、戦闘時にロケット弾や爆弾を搭載できる構造となっており、338機が製造されました。
• - F Mk. V: セイバー IIBエンジンを搭載し、計800機が製造されました。
• - F Mk. VI: 太平洋戦線用の型で142機が製造されましたが、戦局の変化でその目的には至りませんでした。この機体は、戦後キプロスやイラク、エジプトなどに配備されました。

現存する機体

テンペストの何機かは現存しており、航空史における貴重な財産となっています。

関連項目

• - ホーカー シーフューリー: テンペストの改良型として開発が進められた艦上戦闘機。
• - 戦闘機一覧: イギリス空軍に属する他の航空機のリスト。

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