ホーンビィ

ホーンビィ：イギリスを代表する模型メーカーの軌跡

ホーンビィは、玩具メーカーとして1901年にイギリスで創業されたメカノ社の鉄道模型ブランドから発展した、現在ではヨーロッパを代表する模型メーカーです。金属製組み立て玩具「メカノ」で名を馳せたメカノ社は、1920年からOゲージ鉄道模型「ホーンビィ・トレインズ」の製造を開始。その後、OOゲージ、HOゲージへと展開し、ミニカーブランド「ディンキー」やスロットカーブランド「スケーレックストリック」なども手がけました。

激動の歴史：買収と再編

ホーンビィの歴史は、幾多の買収と再編によって彩られています。1964年にはラインズ・ブラザーズ社にメカノ社が買収され、「トライアング・ホーンビィ」時代へ。その後、ラインズ・ブラザーズ社の倒産、Dunbee Combex Marx (DCM) 社への買収を経て、1981年にマネジメント・バイアウトにより「ホーンビィ・ホビース」として独立。

2000年代に入ると、経営不振の同業他社を積極的に買収し、リマグループ（イタリア）、ハンブロール、エアフィックス、コーギー・クラシック、バゼットロークなど、数々のブランドを傘下に収めました。これにより、ホーンビィはOOゲージを筆頭に、HOゲージ、Nゲージ、スロットカー、プラモデル、塗料など、多様な模型製品を展開する巨大企業へと成長を遂げました。

ホーンビィ製品の世界：多様なラインナップ

ホーンビィの製品は、その歴史と買収劇を反映し、多岐に渡ります。

OOゲージ鉄道模型は主力製品で、車両、線路、ストラクチャー、アクセサリー、制御機器など、レイアウト制作に必要なものが全て揃います。イギリスの鉄道を忠実に再現した車両から、近年人気の「きかんしゃトーマス」シリーズまで幅広いラインナップが魅力です。

線路は、道床なし線路が中心で、専用道床スポンジを使用することで走行音を軽減できる工夫もされています。しかし、組み立て式線路の種類は少なく、他社に比べると劣る点も挙げられます。

ストラクチャーはプラモデルと完成品があり、特に完成品シリーズ「Skaledaleシリーズ」は急速に拡大しています。Nゲージにも同様の「Lyddle Endシリーズ」があります。多くのストラクチャーは、ホーンビィ本社のあるケント州マーゲート周辺の建物を参考に作られています。

制御機器は、イギリス仕様の交流220-240ボルト入力、直流12ボルト出力の変圧器とダイヤル式コントローラーが基本ですが、近年はデジタルコマンドコントロールシステムも展開されています。

そして革新：ホーンビィ Zero 1

1970年代に開発されたデジタル制御装置「ホーンビィ Zero 1」は、デジタルコマンドコントロールの先駆けと言える画期的な製品でした。最大16台の動力車と99個の付属品の個別制御が可能でしたが、高価な受信機が必要だったこと、従来のシステムとの互換性がないことなどから、商業的には成功しませんでした。しかし、この挑戦は、後のデジタル鉄道模型制御技術の発展に大きな影響を与えました。

未来へ向けて

現在、ホーンビィは中国での製造を続けながら、イギリスをはじめとしたヨーロッパの鉄道模型市場で、バックマンなどの競合他社としのぎを削っています。細密な新製品の開発や、ライセンス取得による新たな展開など、その未来は依然として注目を集めています。 ホーンビィの歴史と製品群を知ることは、鉄道模型の世界をより深く理解することにつながるでしょう。

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